ココジュルママのブログ

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てんごしなはんな①
万博を来年に控えた昭和38年、予定日より2ヶ月も早く誕生したチーちゃんは、2000gの小さな女の子だった。
今なら保育器に入って当たり前の早産だが、チーちゃんはとっても元気で保育器に入る事なく無事にお母ちゃんと共に自宅に帰ってきた。
だが7月初旬の夏の暑さの中、布団に寝かされた足元から30cm程離して湯たんぽを置かれ、少しでも遠くにすると『きゃーっ』と泣いたので余程体温が低かったのだろう。
母乳はよく飲んだ。
でも、やはり小さい。
お母ちゃんは、栄養が偏らないようにと、離乳食を始めてからは色んな野菜のたっぷり入ったスープを毎日毎日作ってくれた。
そのお陰で好き嫌いは全くない健康体に育った。
家が酒屋だったので、跡継ぎのお母ちゃんはいつも忙しく、チーちゃんはおばあちゃんか、お手伝いをしてくれる近所の毛利のおばちゃん夫妻が面倒をみてくれていた。
余りに小さい頃から面倒をみてもらっていたので、『毛利のお母ちゃん、お父ちゃん』と呼んでいたくらいだった。
それを聞いた5歳上の姉(ねぇ)は、『チーちゃんのお母さんは1人やで!』と怒っていた。
毛利のお母ちゃんは、チーちゃんのお母ちゃんより随分年上だし、ふくよかな体型の人だったから、お母ちゃんとの違いに戸惑いがあったのだろう。
いや、母親は1人なのだから他の誰でもダメなもんはダメなのである。
チーちゃんは、ねぇが大好きだからふてくされつつも『毛利のお母ちゃん、毛利のお父ちゃん』と呼ぶのはやめようと思った。
ねぇの持ち物は何でも欲しがり、ねぇの大切にしているバービー人形が触りたくて仕方なかった。
ねぇがいる時は絶対に触らせてもらえないから、ねぇが小学校に行っている間にコッソリ触るしかない。
沢山ある洋服を次々とバービーに着せて、1人遊びに夢中になっていた。
季節は夏。
雨が降って来て、大好きなアマガエルを捜しに裸足に長靴を履き、レインコートを着て傘はささずに外に出たら、その日ふアマガエルではなく、トノサマガエルがいた。
少し小さめだった。
そのカエルを見た瞬間、チーちゃんはひらめいた!
レインコートのポケットにトノサマガエルを入れて、飛び出さないようポケットの開き口を閉じ、水の入った長靴を脱いで濡れたままの足で2Fに駆け上がった。
(あ、なぜ長靴を履いているのに水が入っているかというと、水溜りを見つけたら水を長靴の中にいれてジャブジャブあるくのが大好きだったから。
外に出たらまずそれをやるのだ。)
ねぇの部屋に入り、バービーの水着を取り出し、トノサマガエルに着せてみた。
ピッタリでとっても可愛くて大喜びした。
ちょっと、ウエストがくびれて苦しそうだったけど、チーちゃんにはお構い無し。今なら虐待と言われるだろうなぁ。
そのバービーの水着を着たカエルにバービーのハイヒールも履かせてみたけど、そのままどこかに行ってしまった。
あーあ、脱がせてあげたのに。
ごめんねー。
ねぇは、数日気づかずにいた。へへへ。
すぐにバレるだろうけど、しーらないっと。