父と話すようになったのは
私がオトナになって、仕事をしだしてからだ。



それまではほとんど家にいない父
わかりやすい愛情をかけられた記憶がなく
すぐ否定されるし、とっつきにくいお父さんだった。
本当に愛されているのか、どことなく不安だった。


だからじゃない?私が恋愛で上手くいかないのは。
上手く異性と付き合えないとき、責任転嫁してみたり。


でも
ある日気がついた

赤ちゃんから育ててもらって
学校に行かせてもらい、
十分すぎるほど教育とチャンスをもらい、
何も不自由なく、つつがなくここまで大人になった。


愛がなければ、こうはいかないではないか。
私はちゃんと愛情を注がれていたのだ。


オトナになった今ならわかる。
愛情表現がとても下手な人間だったのだ。



さて、そんな風だから
若かりし頃boyfriendを連れてきても、
無意味に不機嫌になるわけでもなく
U太郎さんとの結婚の申し込みのときも歓迎ムードだった。

結婚式でも涙一つみせるわけでもなく、始終ご機嫌だった。


ヤレヤレ ようやく手と金のかかる娘がいなくなった。
少しは肩の荷が下りたワイ。


『キミ、いい加減早く嫁にいきなさい』

と しょっちゅう言われていたし、
安心させることができてよかったと思っていた。



世の中には
ダメなら孫と帰ってくればいい、という父親もいるようだが
私の父からは、戻ってくるのは絶対許さない ときつく釘をさされていた。
そんなもん、面倒みきれんと。



よく男親が娘の彼に嫉妬したり
嫁に言ってほしくと言ってみたり、
複雑な気持ちを覗かせるというのを聞いたことがあるが
私の父にそういったそぶりを一回も見たことがない。








ある日母が笑いながら


お父ちゃんのねぇ、オフィスに写真が飾ってるのだけど
アナタと●●ちゃん(妹)のはあるのだけど
U太郎さんのは一枚も無いの。
結婚式の時の写真なのにねぇ。見事に切られてるのよ。
おかしいわよねぇ。
ソレを指摘したら、『やっぱりわかる??』って言ってたわ



意外だった。




そういうもんなのか。



妹の時はどうなるだろう?





お式で号泣したりして?