自分のことは後回しにしがちだ。

 他人の心配はするけど、自分のことは「まあいいか」という人は少なくないように思う。

「今年の冬は特に寒い」と感じていた。実際に12月や1月の平均気温が例年より低かったかどうかは確認していないが、体感として寒いと感じている。ここ最近は寒波の影響で横浜でも雪が降ったり、大雪の地域もあるからやはり寒いのだろう。

 自宅で過ごしているとものすごく寒い。いつもの冬よりもエアコンの設定温度を1℃高くしているがそれでも寒い。もっと設定温度を上げたいのは山々だが電気代も高騰しているため1℃までに留めている。部屋の中のどこかの窓が開いているんじゃないかと思い確認してみても、そんなことはないのだがそのくらい寒く感じていて、衣類にカイロを貼ったり重ね着をしたりと寒さ対策をしていた。

「以前よりも体重が減り、体脂肪も減ったから寒く感じるのだろうか」と自分なりの解釈をしていたが、それにしても寒い。

 先日ふと気付く。「そういえば最近エアコンのフィルターを掃除していない」と。すぐにエアコンのカバーを開けてフィルターを確認するとエライことになっていた。すぐにフィルターを外してきれいに洗浄し、装着し直してみると、ものすごく温かい。設定温度を1℃下げてもものすごく温かい。エアコンからの温かい風を肌で感じながら、しばらくエアコンを見つめ呆然としていた。ここ最近の異常な寒さの原因は、自分の怠慢だったのだ。もちろん寒波の影響もあっただろうが、室内がここまで寒くなることはなかっただろう。「余計な電力を使ってしまった……」と強く後悔しながらも、「なんて温かくて快適なんだ」と感動すらしていた。

 わたしが営んでいる治療院では、毎朝玄関ドアや床の拭き掃除をして、院内の掃除に加えトイレの便器も磨いている。余計なお世話になってしまうが、入居しているビルのエレベーターのボタン付近の汚れや通路のほこりなどが気になると、そこも拭き掃除や掃き掃除をしている。そんな姿をビルのオーナーに見られたら嫌味に感じられるだろう……。神棚のお水を換え、飾っている生花の水切りをしてフラワーベースの水を入れ換える。毎朝やることが多い。それもゆかり堂に来院する方が心地よく過ごせるようにと思って開業以来ずっと続けている。

 治療院のエアコンのフィルターも毎日ではないがこまめに掃除している。しかし、自分の住まいのエアコンのフィルターはしばらく放っておいた。毎日あれだけ寒い思いをしていたのに、フィルターのことはまったく頭に無かった。

 人のためには動けるが、自分のこととなると……といったことはよくあることかもしれない。自分のことは後回し。自分のことは「まあいいか」。そのツケは必ずやってくる。エアコンのフィルターのように、お手入れをすれば持ち得る最大限の力を発揮し、その恩恵を受けることができる。自分のからだやこころも同じだ。お手入れをすれば、本来備わっている最大限の力を発揮することができるし、その恩恵に与ることもできる。お手入れを怠れば、こころは荒み、からだは疲弊していき、うまく機能しなくなっていく。

 フィルターのお手入れをされて本来の力を取り戻したエアコンから降り注がれる温かな風に身を纏われて、とても満たされて心地が良く、そのありがたさに感動しながら、「もっと早く気付いて行動していれば……」とつくづく痛感させられた。感動と呆然ののち、メンタルの状態によっては涙が出ていたであろう心持ちとなっていた。

〈了〉

 

 

 

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