ユカ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
北野さん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
初のお見合いは濃厚すぎる深い沈黙。せめてお店が盛況ならこれほど重々しくなかったかもしれない。てか日曜なのになぜここまで客がいない!私たちの他は3人しかいないよ。これぞサンデーサイレンス。ディープインパクト。
てかお前!北野!もうちょっと喋れし!
なに?なんなの?緊張しいなの?カツカレーがそんなに美味しいの??喋らないのがデフォルトなの???
喋れないの喋らないのどっちなの???
せめて微笑むくらいしてよ??婚活するならマナーじゃないの?そんなんじゃ誰にも相手にされないよ?←
仕事だって笑顔大事だよ??人と関わらないシステムエンジニアなんていないよ?みんな支え合って生きてるんだよ??人という字h%kぁdgh&ア・・・!!!!
ユカ「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
北野さん「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ん????
そもそも婚活に笑顔がマナーって誰が決めたんだろう。
そりゃあ確かに笑顔は印象を良くするからこういう場ではあった方がいいけど、ないよりはあった方がいいよねってだけでみんなに当てはまるわけじゃないんだよな。静かな人が好きって人もいるし。
それに彼は今まで38年間こういう風に生きてきたわけだよ、こういう風に無口にオドオドマイペースにね。
なんならこの雰囲気が吉と出た局面だって何度もあったかもしれないわけだよ。
となると彼って、北野さんて、オドオドマイペース型の生き証人ってわけだよ。
あ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜私この状況が辛いからって北野さんに求めてた、期待してた。普通は笑顔でしょ?って自分の価値観押し付けてた。
常識に囚われてはいけない!!!
彼の身になって考えるんだ!!!
見て!
彼の姿を!(サラリーマンがただカレー食べてる)
顔を!(額汗すごい)
髪を!(絶対千円カットで切ってる)
彼の身になって考えるの!!!(何
あ、北野さんのグラスいつの間にか空になってた。
ユカ、メイドさん呼んでお水くださいって頼んであげたよ。
北野さん、ハフハフもぐもぐしながらメイドさんに軽く頭下げてる。
喉ならして水飲んでる。
おしぼりで額拭いてる。
人類だなー。
北野さんを見つめる私はもはやホモサピエンスの生態を観察してる気分(失礼
なんかどうでも良くなってきたなー、良い意味で。
肩の力が抜けて、昨日観たDVDの話をしたよ。
私「昨日ガリレオ観たんですよー」
北野さんの手が止まる。
「借りたんですか?」
「ドラマですか?映画ですか?」
おぉ・・・!なんか知らんが食いついてきた!
私「映画の方です」
北野さん「X?方程式?」
北野さん「すみません、お水ください!」(←メイドに)
私「Xです。何度観ても良いですね」
北野さん「どの点で?」
ど、どの点・・・!!?
これは難題だ・・・何を答えたら正解なんだろう・・・。
さっぱりわからない
もうわかんないし、さっきどうでもいいって決めたから素直に答える。
私「色々ありますが一番響いたのは見せ方ですね」
要は、あのトリックは石神さんのキャラクターあってのトリックで、石神さんのキャラが成り立っていなかったらトリックから献身の深さに思いを馳せて感動するなんて土台無理で、東野圭吾さんてマジすごいわ、みたいな事を答えました。
北野さん「数学好きですか?」
私が答えた内容完全スルー(^ω^)
私「どちらかといえば苦手です」だがきたのは目をかがやかせている!(←ドラクエ風)「どうしてですか?」
北野さん「四色定理って出てきたでしょう」
※四色定理…いかなる地図も、隣接する領域が異なる色になるように塗るには4色あれば十分だという定理
私「そうですね」いつの間にかタメ口ですね
北野さん「あれはね、1976年に証明された定理なんだけどコンピューターを使って複雑なブログラムから無理くり証明したんだ」
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少し長くなりますが北野さんの興奮振りを伝えたいので書きます。
面倒な方は流してくださいm(_ _)m
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北野さん「大型コンピュータで1,200時間もかけて、すべての図形が4色で塗り分けられることを証明した。でもそんなの力づくでロマンがない。当時は何百人もの数学者が反証に試みたんだよ」
北野さん「しかしこれを支持する学者もいて、90年代に入ると何人もの学者や専門家がプログラムの改良に成功してより確実性の高い証明がされた」
北野さん「すみません、お水ください!!!」(メイドに手あげて)
北野さん「そしてついに2004年には定理証明系Coqを用いたよりシンプルな証明に至って、今現在ではコンピューターを使った四色定理を否定する専門家はいない」
私「でも石神さんは美しくないと言ってましたね」
北野さん「そこ。確かに四色問題は一応の解決には至ったけど、未だに手計算で定理を証明した人はいない。手計算で証明できないものは数学ではない」
私「なるほど。北野さんは石神さん派なんですか?」
北野さん「まぁ、どちらかと言えば」
随分態度が変わったなとは思っていましたが、次の一言がさらにイケイケを助長させます。
私「なんかガリレオに似てますね」(変人という意味で)
北野さん「はッはははっははハハはは!!!!!!!!!」
!?!!!?!!!?
きたのはばくしょうしている!!
見る見るうちに紅潮する顔。そして北野さんは叫びました。
「福山には似てない!!!!!!!」
知 っ と る わ !!!!!呼び捨てすんな!
はーーーー、疲れました。
四色問題のくだり、wikiとか色々見て書いたけど大体こんな事言ってました。間違っていたらすみませんm(_ _)m
で、このあとも喋る喋る。それはもうハキハキと。
大学は首席で卒業しただとか、お父様が名のある学者だとか、水を何度もおかわりしながら額の汗をおしぼりで拭うのも忘れて喋ってました。
恐るべし福山雅治効果・・・。(違
楽しそうだったから喋らせてあげたかったんですけど、本当気が済むまで喋らせてあげたかったんですけど、猫たちが待ってるんで。猫たちが私の華麗な猫じゃらしさばきを心待ちにしてるんで。
私「あの、そろそろ・・・」
北野さん「あぁ!もうこんな時間したね!では行きましょうか!!」
北野さん、伝票を取って颯爽とレジへ。
おや、これはもしかしてご馳走していただけるのかしら??
私自分の分は自分で払う主義だからいいんだけど、まぁ福山さんの名を借りてサービスしたしな!
しかしここはMissスタンダード。
財布は出して払いますよアピールスタンバイ。
北野さんはレジに伝票を置いてくるりと振り返えると、
「僕お財布忘れちゃったんで勘定お願いしてもいいですか?」
私「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
何しに来たの?さん 完