yUkAkO's Music Notes

yUkAkO's Music Notes

元・音楽ライター、現・アーティストマネージャーが綴る、CDレビューやライブレポなど。
お仕事とは一切関係がありません。
ただ、良い音楽を世に伝えたいだけ。
Love, Hope, Smile, and Music...

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2013年最も印象に残った1枚
クリープハイプ『吹き零れる程のI、哀、愛』

悔しいけど、これを選びます。

なぜ「悔しい」か、って?

このバンドに出会った頃は、「あー、また中2病なロキノン系バンドですね、はいはい分かりました」としか思ってなかったわけです。「セックスしよう!」とか大合唱してるし。
そんな元々半分あざ笑ってみていたようなバンドに、耳と心を鷲掴みされた2013年でした。はいはい、と聴き流していてすみません!
その1つ前のアルバム『死ぬまで一生愛されてると思ってたよ』と共に、かなり聴き込みました。

アーティストが作って歌う音楽は、必ずその人の環境や居住地が音や言葉に影響すると思うのですが、クリープハイプの音楽はまさに東京でこそ生まれるミュージックですよね。
トーキョーシティの至る所で日々起こっている、男女の派手な行為とか騙し合いとか、そこから生まれる虚しさとか寂しさとか怒りとか、思うように過ごせない社会への諦めとか窮屈さとか。そういったことを、斜めに切り捌いていく言葉に、孤独さを拭われたり苛立ちを発散させてもらったりしました。
わかりやすいギターロックな疾走感と、BPM130~200くらいのノリやすいテンポがまた、気分やシーンを問わずいつでもどこでも聴きやすくて。リードギターのフレーズがまた、どの曲もキャッチーなラインで、特に凝ったエフェクターも踏まずに歪ます程度で、そのシンプルさが良いんです。
トーキョーに住み始めて3年、色々とこの街でも経験を詰んだ自分が、クリープハイプのトーキョーミュージックに救われてしまったことが、このアルバムを自分の中で2013年の1枚に選ぶことが悔しいもう1つの理由です。私も東京に染まったんだな、というか、本心はいつまでも鴨川で生まれる音楽に心洗われていたいんだよ。

あと、このバンドは今まさに人気急上昇中ですが、このバンドが放つメッセージに心救われている人が多いという事実は、ある意味危険だと思います。
コブクロとかいきものがかりとか「愛っていいよね、一緒に希望を見つけて生きようね」って歌が支持される方が、国としては2000倍健全だと思うんですよね。
クリープハイプが成長を続けて、5年後10年後、メッセージバンドとして第一線を走っているような日本だと、非常に危険だと思います。もっとピュアに愛万歳!社会は希望で溢れてるよ!って歌っている方が国民が健全な証拠。ただ、そんな音楽だけじゃ欲求満たされないような社会だから、愛とか社会とかを斜めに歌うクリープハイプが求められているというこの現状。
それが、このアルバムを選んだことに悔しさを感じる3つ目の理由。

普通、レビューや批評などを綴る時、「次のアルバムも楽しみです!期待してます!」みたいな締め方が良いんでしょうけど、
来年はクリープハイプを必要としない1年でありますように!と願います。
まあ、現実は、次のアルバムもワクワクしながら手に取るんでしょうけど。

来年はどんな音楽シーンになりますかね?
昨日、CDJに遊びに行って、ロキノンシーンの年齢層の低下と、一般層(音楽コアファンではない、グレー層)の増加に驚きました。それは決して否定することではなく、むしろライブというエンタメが広がっている良い証拠で。
その一方で、そこに不満を感じる大人層(20代後半より上くらい)やコアファンも増加していると思うので、そのターゲットを楽しませられるシーンががつんと1つ出てきて欲しいなと思います。
サマソニとかライジングとかワーハピとか、フェス自体は色々ありますが、ロッキンオンみたいにメディア発信のフェスでライブもメディアも繋げて作り上げる「シーン」というものが、ロキノン系以外でなかなか出来ていない気がするので、アイドルでもロキノン系でもない新たなシーンが出てくるといいな。いいアーティストはいっぱいいるんだけど。ぼんやり考えてみた所だと…CINRAとかに期待。
あとは、2020年に向けて、アイドル以外の世界に誇れるアーティスト作りに、音楽業界が注力してくれることを切に願います。

とまあ、色々言ったり批評するのは簡単で誰にでも出来ることなんですが、実際に実現するのが難しいわけですね。
自分には何ができるか、何をすべきか、考えて踏み出す2014年にしたいと思います。

今年は忙しさを言い訳に、手に取った音楽が少なかった気がする!来年は、今年の分を取り返すくらいたくさん聴く!

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FUJIFABRIC LIVE TOUR 2013 "FAB STEP"
tour final @ Zepp Tokyo

フジファブリックは、
恐らく、いま日本で一番、「絶望」と「希望」という言葉の重みを知っているバンドである。

フロントボーカルの死から、4年。
「志村さんがいないフジファブリックなんて…」という言葉を、メンバーたちは外の人間から腐るほど聞いてきただろうし、
誰よりも本人たちが一番「志村正彦がいないフジファブリック」をやっていくことに不安も恐怖も戸惑いもあったはずだ。
しかし、見事に新生フジファブリックとして再生を遂げ、
今回は「ダンスチューン!」という新たなコンセプトを掲げ、
これまで以上に踊れるナンバーで、新鮮な一面を聴かせてくれた。

ライブハウスの前列には、若いライブキッズたちが集まって汗だくになり、
「知ってる曲3曲くらいしかなかった」なんていう言葉も聞こえてきた。
それは驚くべき素晴らしい言葉である。
なぜなら、志村正彦がフロントを務めるフジファブリックではなく、今のフジファブリックが前に進んでいるからこそ掴んだファンの言葉だからだ。
ここ最近は、アニメタイアップ等を多数獲得し、新しいファンも取り入れてきた。
長年バンドを続けていると、
旧来のファンの保持はできても、新たな若い層のファンを取り込むことはとても難しい。
しかし、メンバーの死というバンドとして最上級の絶望を、1つのチャンスにさえ変えてしまい、新たな一歩を踏み出してファンを拡大していくフジファブリックは、
他に類を見ない前向きな成長を続ける、化け物バンドだ。

「新生フジファブリック」と言っても、
過去のフジファブリックを、志村さんの存在を、なかったことにしているわけでは決してないし、新しいバンドとして生まれ変わっているわけでもない。
アンコール1曲目に歌った「ECHO」は、
いまボーカルを務める総さんが、天にいる志村さんに捧げる曲である。

総さん、ダイちゃん、加藤さんの心には、いつだって志村正彦の存在があり、どのライブステージにも志村さんを連れてきている。
(そう、みやこ音楽祭の打ち上げで、総さんが話してくれたあの言葉を、思い出した…)

本編を締めくくる曲として演奏した「徒然モノクローム」。
3回でてくるサビで繰り返し歌われるフレーズが、とても印象深かった。
「諦めるのはまだ早い  行き詰まったとこがほら  始まりです」
明るいトーンで歌われるこの一行が、
恐ろしい程の説得力があり、
この一行を明るく歌える彼らの強さに、自分のちっぽけささえも感じた。

今のフジファブリックには、
ロックバンド•ロックスターにはマスト条件である「エロさ」も感じた。
ギタリスト•山内総一郎が、「夜明けのBEAT」や「銀河」のソロパートで、センターマイクから外れてステージ前方に行き、
お馴染みの赤ストラトで鳴らすギター音は、実にセクシーだった。
来年がデビュー10周年であるそうだが、
これから更に「大人」なロックバンドと変わっていく姿が非常に楽しみである。

そして、書かずにはいられない、影の重要人物に関しても一言。
言わずもがな、サポートドラムのBOBOさん。
フジファブリックのダンスチューンを支えているのは、
絶妙なグルーヴを叩けてしまう、BOBOさんである。
BOBOさんのドラムは、「叩く」というより、身体と心からビートを「溢れ出してる」という表現が適切かもしれない。

一度は墜落しかけた「フジファブリック」という飛行機は、
この先も、誰も通ったことのない景色の世界を飛び続ける。
その景色見たさに、私はこれからもそのフライトに着いていくのだろう。

yUkAkO y.



Antelope @ O-EAST / 残響祭
2012.9.16

ちょうど昨年の残響祭以来に観たAntelopeのライブ。
バンドとしてのライブ活動は精力的に行ってはいないものの、
時間をかけて音源制作は行っており、
先日発売された残響レコードのコンピレーションアルバムには、ラストを締めくくる1曲として「贖罪」が収録されている。

「初めてステージのセンターに立った(笑)」とライブ後に言っていた、
フロントマンのVo.&Gt.の長尾くん。
これまでは、ステージ上手という立ち位置の理由だけでなく、
彼だけを「フロントマン」とはっきり呼んでしまうことがあまり適さないようなバンドスタイルでしたが、
今回のライブでは「フロントマン・長尾くん」と言い切ることが相応しいように見えました。

目の前には、嫌になることも目を瞑りたくなることもたくさんあるから、
現実から一歩抜け出して、夢の世界に逃げちゃおうよ、
と感じさせてくるのが、
Antelopeの音楽の世界。

「僕だって孤独だし、不器用なのさ」と言って分かち合ってくれながらも、
手を取って一緒に夢の世界へ連れ出してくれるような、
そんな頼もしさを、Antelopeのサウンドと長尾くんの歌から感じました。

ステージの中心に立って、
メンバーを一歩前から引っ張りながら、
お客さんと向き合って、アテンションを集めて、
前髪が目を覆いながらもギターを掻き鳴らす姿は、
ついていきたくなるようなロックバンドのフロントマンとしてあるべき姿でした。

サウンドや演奏面など、ただ物理的な変化だけでなく、
オフステージでのバンドの状態やバンドの進め方が変わっているからこそ、
オンステージでも出ているスタイルの変化なのだろうなと思います。

もがけばもがくほど、
あなたの歌は、優しくて、安心感があって、嘘のないものになる。

今回、初のサポートギタリスト&サポートベーシストを迎えてのライブでしたが、
今回の演奏に加えて、Antelopeの浮遊感&グルーブのミックスがバンドとしてもっと生まれたら、
もっともっとライブが面白くなるなあ、と思いました。

今回3曲のみの演奏でしたが、素直にもっと見たかったです。
ずっと楽しみにしているリリースが、一層待ち遠しくなりました。
皆様もぜひお楽しみに!!

yUkAkO y.