『地球が静止する日』

これはCMで見るとSFエンターテイメントの様ですが、
実際にはエンターテイメント性は低いです。

CMにあるようなFSXを期待するとガッカリします。
アクションもほとんどありません。

ストーリーも皆さん想像できる通り、非常にシンプル。
そこには面白い仕掛けもなにもありません。

逆に骨太なメッセージ性の強いSFが好きな人にはたまらない作品。
余計な説明的な台詞もなく、一言一言に重い意味があります。

中でも私がお気に入りなのは、キアヌリーブス@クラトゥより
先に潜入していた中国系の老人がクラトゥに報告する台詞。

「人類は破壊的な連中だ」
そして帰還を促すクラトゥに対して断ったあと、
「人間として生きられて幸せだった」と。

このなぞなぞの様な矛盾する感情がこの映画のテーマでもあります。

バッハの音楽に聞き入るクラトゥ。
ノーベル賞受賞者の科学者とクラトゥとの数式だけでの交流。

ジェイデン・スミス@ジェイコブ(ジェニファー・コネリーの義理の子供)
の無条件に戦うことを是とする考え方も臆病さの裏返しです。

そして、それは作中のアメリカ合衆国の態度と相似でもあり、
イラク戦争への反省と批判だと読み取れました。

それをうまくオブラートに包んで、
親子の目線を通して描いているところも秀逸でした。


最後まで読んでくださったあなたに、全ての良き事が雪崩のごとく起きます。