私は韓国映画は評価してないのです。

この映画は邦画ですが監督が韓国人のクァク・ジェヨン氏ということで、
テイスト的には韓国映画になるんだろうと思ってましたし、
やっぱりその通りでした。

じゃぁ見に行くなということになるのでしょうけど、
私は20数年前に「ターミネーター」を公開直後の映画館で見たくらい、
こういうB級のSFロボット物が大好きなのです。

ましてロボットがかわいい女性となると見に行かざるをえないでしょう(笑)。
(ちなみにタイトルのサイボーグは人間の一部を機械に置き換えた人のことで、
明らかに間違いです。音の印象で選んだんだろうけど、ならアンドロイドとか
ヒューマノイドってしてほしかった)

そんな私から見て、この映画はがんばっていると思います。

もちろん突っ込み所は満載だけど、
ノリと勢いで突っ走るのがB級のB級たるところ。

その意味でいえばB級を標榜しながら、
テンポの悪い某スキヤキウエスタンより何倍も楽しめました。

何より綾瀬はるかちゃんがめちゃめちゃ可愛い。
もう、それだけで映画観た価値がある。


綾瀬はるかちゃんって、客観的に見たら、彼女より可愛い、
あるいは、綺麗な人はいっぱいいるでしょう。
例えば上野樹里ちゃんとか。

でも綾瀬はるかちゃんには華があるんだよね。
監督さんも彼女を撮りたかったんじゃないかな。
サービスカット(変な意味じゃないよ)いっぱいだもの。

それに演技も上手い。ロボットの時は瞬きしないし、
マネキンの真似は蝋人形かと思ったもの(笑)。

甲高い声で損してるけれど、急にわき起こる感情とか、
徐々に落ち着いていく様とか、あ、こんな子いるなぁと思うし、
ロボットが彼との同居で徐々に表情豊かになる様子とか、
主人公のジローじゃなくても種の壁を越えたくなりますよ。

彼女の演技があったから、小出くんの彼女を好きになるほど
彼女との距離を感じるせつなさ、苛立ちが映えるんだと思います。

それに彼女には同世代の女優さんではちょっと難しいだろうなぁと思う、
カッコイイたくましさというか、頼もしさというかがありますね。
柴咲コウちゃんがいくら頑張って少林拳のアクションしてもそうはならないでしょ。


そして、映画の設定もストーリーも面白い。
この手のモノにありがちなタイムパラドクスは完全に解消していませんが、
今に焦点を当てながら、うまくタイムパラドクスを逆手にとって
どんどん違う未来が作られていってると解釈すると納得できる範囲。

まあ、たしかにちょっとわかりにくいけど
(誕生日のケーキシーンを入れるから混乱するんだよ!狙いか?)、
B級映画なんだし、そこはノリと勢いで…(^^ゞ

それに「ターミネーター2」的なメッセージもなかなかに良かった。

たしかにラストのハッピーエンディングを見ると、ちょっと霞んじゃうけれど、
それはサラッと終わっているし、あの2度廻しの演出もいいし、いいバランスだと思う。
(もうちょっと未来での心理描写がないと、ついていけない人多いと思うけど…)

賛否両論のラストだけど、あれも「ここからは君たちが未来を作るんだ」
というメッセージだと受け取れたので、私的にはOK。

むしろ、あのラストでないと冒頭のシーンが無意味になっちゃう。
(レビューの評価が低い人はこの映画がパラレルストーリーだって
分かってないのかな?)MISAの音楽もぴったりだったし。

その点でも古典的なSFのテーマ、モチーフを扱いながら、
新しい視点を取り入れていて面白いと思いました。


それだけに残念なのが、韓国映画特有の異常に説明的な過剰演出。
特に前半に目につきました。国民性の違いでしょうか?
しらけちゃうんですよ。映画から引いてしまう。

まず、サウンドエフェクトがアニメみたい。
そして、そこまでやったら大事件になってるわい!
っていう漫画みたいなシーン。特にそれが多すぎて、笑えない。

そんなことしなくたって、彼女がロボットである可笑しさとか、
力強さとか、いくらでも出せるでしょうし、そうした方が
B級でも大人の鑑賞に堪えられる映画になったと思う。

それからやたらめったら堂々と窃盗したりするのもどうかと。
未来から来たから金はない、服なんかも手に入れたいっていうのはわかるけど、
もうちょっとやりようがあるでしょう。

共犯意識を持つために、いたずらにリンゴを盗む程度なら
演出の範囲だとは思いますが、ああいうのはやり過ぎですねぇ。

後半、畳み掛けるようにおこる事件からのB級映画なりの感動や、
ドラマチックさをスポイルしてしまっています。

この映画って「ターミネーター」へのオマージュもありますけど、
そういう点で細部への配慮がなさ過ぎて、残念ながら遠く及ばない。

最初の「ターミネーター」って、すごい低予算のB級映画だったけど、
(後半のストップモーションなんて、当時のレベルから見てもお粗末)
ああいう余計な過剰演出はなかった。

当時のキャメロンが、このキャストで撮ったなら、
「ターミネーター」のようなB級の名作になってただろうな。

マジで、それくらいのポテンシャルはありますよ、この映画には。
それだけに非常に残念ですね。

監督のクァク・ジェヨン氏が脚本も手がけているそうですけど、
一度、イギリスでもフランスでもアメリカでもいいから行って、
韓国映画の垢を落としてくるといいかもしれませんね。


ちなみに、この監督さん、邦画ということからか、
エヴァンゲリオンを相当意識していますね。

綾瀬はるかちゃんの未来スーツ(&髪型)は完全に綾波だし、
冒頭のシーンのワンピースや台詞(「守ってあげる」
「あなたバカでしょ」)はアスカだしね。

ま、綾瀬はるかちゃんがかわいいからいいんですけどね。


最後まで読んでくださったあなたに、全ての良きことが雪崩のごとく起きます。