初めて出会ったとき、
部活で嫌になってサボっていた私に声をかけてくれた先輩。
その茶色い髪と笑った時の笑顔と優しさに、
人生で初めての恋と一目惚れが重なりました。
『隆弘先輩、追いかけ中』
千「今から部活だからじゃあね~!」
実「うん!」
親友の千晃がグラウンドへ行ったのと同時に、
私も多目的室に駆け出した。
バトミントン部、通称バト部。
私、宇野実彩子 高校一年生。
入学したてで、バトミントン部に入った。
部活は私にとって、
苦痛でたまらないものになるなんて、
入学初日の私はまだ知らなかったよね。
実「こんにちは...」
ガチャ、
今日もロッカーに入っていた紙くずや泥や落書き。
ため息をついてそれらを片付けていくのが私の日課。
こうなったのもなんでだろう。
違う学校からの子が多いバト部で1人だけ浮いている感じはしたけど、
いつしか嫌がらせを受けるようになった。
話してくれる子も数人はいたけど、今はいない。
練習も指示された時以外は独りぼっち。
こんなこと、誰にも相談せずに1ヶ月が過ぎた。
やめたかったけど、
ここでやめてしまう自分が一番弱い気がしてやめずにいる。
だから最近は少しずつ、ユニフォームに着替えた後
練習に少しだけ参加してから多目的室を出てサボるようになった。
今日も、いつもの場所でサボろう。
そう思ってやってきた校舎裏。
実「あれ...
誰かいる.....」
隆「ん...?」
そこには、
西島隆弘先輩という、ベンチの先約がいました。