3/31の記事に対してメールをいただきましたので、私ごとに置き換えて回答しながら考えてみます。(本人様了承済みですが後半は省略しています)
突然のメールを失礼します。
いつも楽しく読ませていただいています。毎回とてもためになる話なのですが、3/31の記事で自己実現が仕事じゃないというのはちょっと違うんじゃないかと思いました。
自分のやりたいことを仕事にするって、素敵なことじゃないですか。仕事を通じて自己実現することは大切かと思います。(以下省略)
自分の好きなことをガムシャラに頑張って、それが仕事として収入につながっていたとすれば、素晴らしいことですし理想的です。
ですが、仕事を通して自己実現しようとするのは、自分本位ではないでしょうか。
自己実現自体は悪いことだとは思いませんし、私自身も「自分のやりたいこと」を仕事にしています。
そんなに器用ではないものの、漠然と思っていることを形にすることは楽しいですし、それが仕事になっています。
しかし、お客様から依頼されてお客様が望むものをデザインし、納品しています。
自分が「こうしたい」と思っても、お客様が「ああしたい」と思ったら「ああしたい」なんですよね。
「こうしたい」は提案するけど、お客様の「ああしたい」をどれだけ汲み取れるか…なんです。
もし、「こうしたい」を貫いたならば、それは仕事ではなく趣味ですよね。お金を頂いてやるものではありません。
もちろん、アーティストであれば自分の作品を出し、それを気に入ってくれた人だけが購入、それは仕事として成立していますが、一般的には少数ではないでしょうか。
レストランに入って、メニューにあるカレーライスを頼んでも「今日はハンバーグがオススメだからハンバーグだけ」…オススメは嬉しいけど押し売りは、有りえないでしょ。
本当に自分を磨いて「シェフのおまかせメニュー」だけで通用するようになるためには、まずはお客様が望むものをきちんと提供してからです。
よく、自己実現で検索すると、こんなピラミッドの図を見ませんか?
アメリカの心理学者・マズローの「欲求の5段階」説。
下のほうはより本能的で原始的。成長と学習によって、その欲求はどんどん高くなります。
それをひとつづつ実現していくことは、人生を豊かにするために必要不可欠です。
ただ、それはあくまでも「自分のこと」
お客様はお金を払って「お客様自身のために」何かを得ようとするのです。そこに「自己実現」されても迷惑な話じゃないですか。
自分の能力を引き出すことと、スポンサーをつけることは違います。活動に共感してもらい援助を得ても、それに応えることは求められますからね。
この先仕事をしていく上で、「デザイナーとアーティストの違い」とかも語られることは多々ありますが、私自身の個性はあれどデザイナーですからアーティストにならないよう、肝に命じていきます。