「初恋の嵐」のデビュー・アルバム『初恋に捧ぐ』'02。
ライナーノーツにあるように、このアルバムはあらかじめ悲しいストーリーの元に語られる運命を背負ってしまっているけれど、純粋に音楽をただ感じて楽しめば、それが一番なのではないかと思う。
当時僕は、色々なご縁が重なって知り合いのカフェで月イチでライブをやっていました。
お店のほとんどの常連さんはそれほど熱心な音楽好きというわけではなく、大ヒットした曲を好きというくらいの一般的な音楽ファンがほとんどでした。
そこで僕は、有名でなくてもいい曲っていっぱいありますよ、と紹介するような形で新旧洋邦問わず色々な名曲を演奏していました。
中でも初恋の嵐の曲は、何度も歌わせてもらっておりましたね。
こういう素敵な曲、バンドが、少しでも知られていったらいいなという願いも込めて。
沢山リアクションをいただいて、すごく嬉しかったのを覚えております。
シンプルな構成ですが、とても沁みる曲だと思います。これはアコギとエレキギター二人でよくやらせてもらいました。
この曲は女性がすごく反応してましたね。
語弊があるかもしれませんが、ちょっとミスチルなどにも通じるような雰囲気があると感じましたし、あんな風に沢山の人に愛される可能性があったバンドだと思います。
今となっては、このバンドがどんなビジョンを描いていたのかは分かりませんが。
そしてアルバムのオープニングを飾るこちらも。
とても嬉しかったのが、後にスピッツがこの曲をカバーするんですよね。素晴らしいことだと思います。
当時初恋の嵐は誰に話しても知らないといわれるバンドだったけど、草野さんが歌うことによってすごく知られて行ったと思うんですよね。
もちろん楽曲の良さでカバーしたんだよ、というだけなのかもしれませんが、粋だな、素敵な人だな、と思ったのでした。
仮歌でしか録っていなかった曲もあると思いますし、星空のバラードなどはインディーズでシングルを出しておりますが、もう一度録り直したかったんじゃないかなぁ、なんて思ったりします。
生々しい録音の歌が多いのもそういう事情もあるかと思いますが、やはり刹那を閉じ込めた稀有なロックンロール・アルバムだと思います。
僕の今の年齢で歌わせてもらうのは何だかドキドキしちゃうけど、またライブで歌わせてもらおうかな、西山さん。
これからもずっとファンです。
それでは、また。