歌の先生日記 ① | 宇津雄一の『ボイトレ川柳』

宇津雄一の『ボイトレ川柳』

現役ボーカルインストラクター兼、現役シンガーソングライターのブログ

ボーカルインストラクターって

言ってしまえば誰でもなれるんですよね。

全国的な統一試験というものがあるわけじゃないですし。

これを読んでくれているあなたも、

「私は今日から歌の先生!」と言ってしまえば先生。

そんな世界です。

 

さかのぼること15年前。

私は歌の先生を初めて経験しました。

 

ずっと音楽活動をしながらいろいろなバイトをしておりましたが

バイトを決める条件がひとつ。

【常に音楽が流れている場所】

 

コンビニ、洋服屋、CD屋…

そしてたどり着いたのが歌の先生。

 

教室には有線で歌が流れ続ける中、

始めてみたら本当に苦しい仕事でした。

 

ちょっと歌った経験があればそれなりに教えられるだろう…なんて

非常に甘かったですね。

 

初めて2ヶ月ぐらいで、レッスンが怖くなり

ブースに入る扉の前で大きくため息をつく…なんてことが毎時間。

何を聞かれるかわからないことが

とても大きな恐怖になっておりました。

 

ある時、まったくわからないことを聞かれてしまいました。

冷や汗ものです。

答えを持ち合わせていなかった私は

「次回までに調べてきてもいい?」と自信なさげに言いました。

すると生徒さんは

『もちろんです!ありがとうございます!』と。

 

一気に気持ちが晴れていきました。

~そうか!全部を完璧に答えようとせずに、

  生徒さんと一緒に学んでいけば良いんだ~と。

 

それからは本当に気持ちが楽になりました。

 

教える立場になったことで

自分の歌い方を研究するようになりました。

そして、それを生徒さんとやってみる。

同じような感覚が共有できれば最高に楽しいですし

そうならなければ一緒にああでもないこうでもないと試す。

気が付けばそれにとりつかれて早15年です。

 

すべての人がプロのような歌い方に…とはいかないまでも

すべての人の歌の、声の出し方のお悩みに

じっくり向かい合うことができる先生でありたいとは

常に思っております。

 

明日は名古屋に行かせていただきます。

待ってくれている方がいることが、ありがたくてたまりません。