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海炭市叙景

「海炭市叙景」の試写会にお邪魔してきました


先々月の第23回東京国際映画祭で
「ある視点」部門に正式出品された
「FIT」という作品に
私は大木という役で出演しておりまして
(その話はまた今度ゆっくり)

コンペディション部門に出品されていた
「海炭市叙景」のことはその時から気になっていました

「カイタンシジョケイ」とオープニングでアナウンスされているとき
私の脳内では漢字変換されず、妙に不思議な言葉の響きに感じました



村上春樹、中上健次らと並び評されながら
文学賞にめぐまれず、90年に自らの命を絶った不遇の小説家・佐藤泰志が
最後に執筆していた、未完の小説

未完の小説というのは、それだけで
不謹慎ながらドラマチックな印象を感じてしまいます

佐藤泰志の場合、何を思い書き続け、何を思い筆を絶ち命を絶ったのか


観終わった後
これは希望なのか、絶望なのか、という漠然とした思いがあって

でも、劇場のホールで声高々に
「面白かった!もっと観ていたかった!」と言っていた人が居て

なんだかするりと、胸に落ちるものがあったというか
未完の物語を、もっと観ていたかった、という気持ち
希望も絶望も入り混じった人生を
彼の「叙景」を眺めていたかったという気持ち

ただ、この声が、この気持ちが、佐藤泰志に届いたらいい、と
そう思いました

12月18日からユーロスペースにて公開ですよ!