僕は目を閉じた。
すると、ありとあらゆる色々な思いが生まれては消え、消えては生まれる。
仕方がない・・・・・。
そう、僕は諦め、その思いの全てに身を委ねてみた・・・・・。
やがて、はっきりと残ったものは、薄情な哀れみを抱えた自分の歪んだ思いだけだった。
最後に交わした実冬との冷たい会話が、思いも寄らない妙な安らぎになって響いていた。
どうして僕は、こうなんだろう・・・・・・?
もう、終わりなんだ・・・・・。
もう、彼女の事は忘れよう・・・・・・。
今度こそ、本当に忘れてしまうんだ・・・・・・。
そうしよう・・・・・・。
僕はウトウトと浅い眠りの中を彷徨っていた。
彼女の面影を消し去ってしまうことが、たったひとつの救いなんだ。
初めて彼女と出会った頃、彼女が遠い目をして見つめていた何かを僕は思い浮かべた。
それらの全てが黄昏だった。
その色は橙色の輝きに生まれ、紫色の哀愁を伴いながら、濃紺の空にいつまでも消えることは無かった。
僕は何度も繰り返し黄昏の空を思い浮かべた。
彼女が見つめていた視線の先にある、僕が覚えている橙色を。
ずっと・・・・・・・。
ずっと・・・・・・・。