そんな彼女を見つめると、僕はちょっぴり安心した。
そして、不思議なほど、たったそれだけの仕種が、僕から、一瞬のうちに重くのしかかっていた不安を取り除いた。
それと同時に、僕の美冬への強い思いが心を弱くしてしまっていることに気付かされる。
強く、それを自覚すると、なんだか寂しい気持ちでたまらなくなった。
だから、それを打ち消すように、美冬への気持ちを整理しようとすると、また黒く重たい雲が、心を覆うようになる。
美冬の全てが単純な悲しみに早変わりし、僕は、彼女への思いの辛さだけ耐えてゆかねばならなくなるんだ。
その療法の気持ちを抱えていると、僕は心を失くしてしまう。
目が霞んだ。
どこを見つめているのだろう?何を探しているのだっけ・・・・・?
わからなくなった。
僕の鼓動は激しくなっていた。眠れそうもない。
僕は、いつの間にか、一本のウイスキーを空にし、そして新たに別のスコッチをストレートで飲み始めた。
身体は疲れていて、もうアルコールを拒否している。
それでも呑まなければ、心の疲れは取れない。
頭痛と憂鬱な気分で朝の光は渦巻き始めた。