”えっ?”と、まるでびっくりした様子で僕を見つめる彼女は、僕が取り乱している理由をしばらく探していた。
僕との間にある大切な何かに、初めて気がついたようだった。
それでも彼女の返す言葉は、こうでしかなかった。
「あなたって子供よ。ちっとも現実的じゃないんだもん・・・・・。」
「どういう事だい?」
「もっと楽しんで暮らしてくれればいいのに・・・・・・・。」
「そんなこと、独りで出来るわけないさ。」
「でも・・・・・。でも、そうでしょ?楽しくなかったら何も出来ないわ。」
「何だか、よくわからないよ。」
僕の瞳から涙は止まらなかった。
合わせるように彼女まで泣き出した。
「私だって、よくわからないわ。わかるはずないじゃない!傷付いているのは、あなただけじゃないんだから!」
「でも、どっちが勝手なんだと思うんだい?!」
「私は何も勝手なことなんかしてないわよ!」
「嘘で固めてゆくことは、勝手なことじゃないって言うんだね?」
「嘘なんかついてないわよ!」
「じゃあ、僕に黙って、剛造やケンとの・・・・・。」
「何よ?!」
僕は、そこまでで話すのをやめた。