内心、僕は、多分、彼女が北海道に行くことはないと思っていた。
でも、僕にはチケットを買わずにはいられない何かがあった。
それは、彼女を試すための偽りのような優しさかも知れない。
僕は鞄から、飛行機の予約チケットを取り出し、結論の出ない寂しさの中で、茫然と、どれを見つめていた。
街明かりが冷たい空気に浸され、ゆらゆらと車窓の向こうに揺らめいている。
僕は電車を降りると、小走りに慌てて部屋に向かった。
美冬がまた、いないんじゃないかと思えたからだ。
けれど、途中で、ふと、足を止めてしまった。
”いったい、これ以上、何が出来るんだ?何を心配し続ければ・・・・・・・。”
僕を不安にするものに、突然、歯止めがかかり、揺れ動いていたものが、ひとつの答えになろうとしているようだった。
何故、こんなにまで、彼女に振り回されるのだろう?
まるで、彼女の心は、いつも、悪戯な戯れに酔いしれているようだ。
美冬のことを考えると酷く孤独を感じる。
僕が彼女の立場なら、やはり同じように振舞うのだろうか・・・・・・?
ゆっくりと歩き、足早に歩く人々に押し退けられ、取り残されながら、僕は自分の足元に落ちる影の中に、自分を探しているようだった。