美冬のいない部屋は、こじんまりと、そして雑然としている。
整理された食器も、一輪挿しの花瓶の花も、実冬といる時には気がつかなかったが、それらは、まるで二人の為にあったかのようだ。
独りで見つめていると、どれもこれも、みな、バラバラに分散して見える。
僕は、それらひとつひとつの間に押し込まれる思いでソファーに腰掛けていた。
そして彼女が来るのを待っていた。
息苦しい思いがした。
彼女との別れが、わけもなく脳裏を掠める。
理由を探しても仕方のない事だろう。
彼女は、いつでも自分で答えを出し、僕に、その答えを置き去りにしてゆくのだから。
考えてみれば、美冬と一緒に暮らし始めてから、もう一ヶ月近くにもなるんだ。
時の経つのは、あまりにも早い。
そういえば、晴美からの電話が、かかってこないなぁ・・・・・・・。
僕は、ポカンと、そんな思いを募らせていた。
どこか、巷で、美冬と僕の噂でも聞いたのだろうな。
それとも、晴美には、新しい彼氏でも見つかったのかなぁ・・・・・。
男も女も、所詮、独りでいられるほど強くはないものだ。
そんな、とりとめのない事を考えているうちに、僕は、段々とウトウトと眠くなってきた。