「そうか。でも、君の言う事は嘘だよね?君が傷付かない事も、ちゃんと一緒に考えているんだから。」
彼女は不満そうに電話口で溜め息を漏らしていた。
「そう、ごめんなさい。でも、まだ何ひとつ、あなたに話せるほど、私の気持ちも決まっていなかったの。ごめんなさい。」
「北海道に行く話をしてから変だったけど、それが原因なのかい?」
「違うわ。ちょっと独りになりたかったの。」
「そう・・・・・・・。」
僕は少し間を置いて彼女にこう言った。
「君は嘘をついたり、間違った事をしながら成長しているんだね。」
「そんなの、みんなそうでしょ?」
「そうだね・・・・・。いや、君にはそれが正しいと思えるんだね。僕が落ち込んだりすることを、どう思
う・・・・・?」
「わからない・・・・・・・。」
美冬は投げ遣りにそう答え、
「北海道に行ってもいいわ。でも、その前に、私、やっておきたい事があるの。」
と、そう言った。
「剛造とかい?それともケンかい?」
「何を言ってるの?あなた、可笑しいわ。」
「可笑しいかな・・・・・?」
僕の目から涙が止まらなかった。