「いいだろ?」
「う・・・ん・・・・・。じゃあ、明日ね。」
晴美は、まるで明日は絶対に会えないんだと思い込んだように返事をして電話を切った。
僕は電話を切ってから、しばらくベッドで横になって自分の誕生日の事を考えていた。
そういえば、誕生日の思い出っていうのは、あんまり覚えてないなぁ・・・・・。どうしてだろう・・・・・?
酔いが眠気に変わって僕はウトウトしていた。
十二時近くだった。電話が鳴った。電気的な呼び鈴は耳元で、いつもより優しく鳴り響いていた。僕はうたた寝している間に眠っていた。
その電話が美冬からだろうと思うと何だか身体が緊張する気がした。
「もしもし?」
「美冬よ。話したいことがあるの・・・・・。部屋に言ってもいいかしら?」
「ああ、構わないよ。随分、遅いね。何やっていたの?」
「ごめんなさい。こんなに遅い時間に電話しちゃって。」
「えっ、そういうつもりで言ったんじゃないよ。じゃあ、待っているから早くおいでよ。」
僕は美冬の態度が、いつもと違うことに気付いていた。
「うん。今から行くわ。今ね、私の部屋にいるの。ここからだと30分もあればいけるわよね。」
「ああ、多分それくらいあれば着くと思うよ。」
「うん、じゃあ今から行くわ。じゃあね。」
「じゃあ、待ってるよ。」
「・・・・・・・・・・。」
美冬は何かを思いつめたようで、そっと電話を切った。