長く短い夜が過ぎていった。

ようやく窓辺に朝陽が溢れ始め、小鳥達がさえずる声が聞こえた。

美冬と僕は、おでこをくっつけ合いながら静かに眠り、時折、二人は眠たげな瞳を開き、目と目を合わせて互いに側に寄り添っていることを確かめ合っていた。

”諦めてしまおう”と思っていた気持ちが、尚、僕を強く彼女に近づけている。


彼女はとても自由だ。けれど、人を自由に愛してゆくことなど、誰にも出来はしないだろう。何故ならば、愛は互いの気持ちを縛りあうものだからだ。無理して強く抱き締めれば壊れてしまうし、目をそらしていると、すり抜けてどこかに消えてしまう・・・・・。


それに愛は虚しい駆け引きの中で、一度だけ、とても優しく輝いてみせる。

その輝きに目を奪われてしまう人は盲目となり、愛の炎の中に、その身を投じようとするだろう。そして、燃え尽きてしまうまで、その熱の熱さに耐えなければならない。愛に辿り着く調和など用意されてはいないんだ。

ただ、愛は常に孤独を背負わせ孤独と闘わせている。


時計の針が朝の七時半を回った頃、僕は、もう眠れずに仰向けになって考えて込んでいた。愛のせいで心が盲目になった僕は、美冬の温もりの虜になっている。

その暖かさが、そのうちに、もっともっと熱く煮えたぎって、この身を焦がしてゆくことが怖かった・・・・・。

美冬は計算しているわけではないだろう。

ただ、彼女は身の危険を避けるように、振舞えるだけだ。彼女に悪気は何ひとつない。

責められるのは僕の方かもしれないんだ。だって彼女の心の傷を慰めるふりをして、彼女の心を弄んでいるのかもしれないのだから。












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