「君も剛造って男に振り回されているんだね。ねぇ、話したことなかったけど、僕の本当の気持ちを聞いてくれるかい?僕はね、君のことが好きでたまらないんだ。だから君から、剛造やケンの話を聞くと辛いんだよ。でも、君を忘れることにしたんだ。どうせ君は、僕に振り向きゃしないだろ?振り回されるのって辛いからね・・・・・。」
美冬は黙ったまま心を閉ざし、呟くように僕に尋ねた。
「じゃあ、どうすればいいの?」
「それはね、きっと君が剛造っていう人間の何が好きなのか、考えるべきなんじゃないのかな?」
そう言いながら、僕は自分にも言い聞かせていた。
「そう・・・・・。」
「人を好きになる気持ちは、とても純粋だけれど、その気持ちの中で、自分を見失うと辛すぎるよ。そうじゃないかな・・・・・?」
美冬は僕をジッと見つめていた。
「じゃあ・・・あなたは私が本当に好きなの?」
「・・・・・あぁ・・・・・。」
彼女は僕に身体をあずけてきた。
僕の腕は、そっと彼女を包んでいた。
二人は軽く唇を重ね合った後、部屋の明かりを消し、静かに服を脱いだ。
彼女は僕以外を見つめようとはしていなかった。
暗がりの中で、ずっと僕の瞳を見つめていた。
長い間、ずっと口づけを続けた。 二人はひとつになった。
そして、とても激しく抱き締め合い始めた。
電話が鳴っていた。多分、晴美からだろう・・・・・。
けれど、僕の中には美冬しかいなかった。