そんなことで二週間があっという間に過ぎていった。そして、その時、美冬から電話があった。

「こんばんは。電話しなくてごめんね。友達と旅行に行っていたの。」

僕は、その”友達”が剛造なのだということが、彼女の口調ですぐにわかった。


「電話・・・待っていたんだよ。電話かけても、いつも留守番電話だったから・・・・・。」

「うん、ごめんね。お土産買ってきたから今度渡すね。」

「・・・・・・・・・・。」

「今ね、剛造さんが来てるの。それと色々と相談にのってくれてありがとう。」


僕は彼女が、いったい何を意味して、そんなことをしゃべっているのか全くわからなかった。


「そうなんだ・・・。で、彼とは上手くいっているのかい?」

「うん、私の言っていることが本当だって信じてくれたの。ケンちゃんも酔っ払って、あんなこと話してたらしいのよ。だから気にしなくてもいいからって剛造さんが言っているわ。あっ、じゃあ、また電話するね。本当にどうもありがとう・・・・・・・。」

そう言うと彼女は慌てて電話を切った。僕は今度こそ完全に取り残された思いだった。


彼女の話しぶりでは、剛造と、そうとう上手くいっているらしい。僕の入り込む余地など毛頭ない。でも、それが彼女の望むことならそれでいい・・・・・。

それに彼女は、僕との関係に今まで以上の距離を置こうとしているようだ。それだけ剛造という人物に魅かれているのだろう。


彼女を恨む筋合いは何もないんだ。ただ、僕が諦めればいいのだから。それとも、彼女の幸せを願って忘れてしまおうか?・・・・・どちらでもいい。

彼女と僕は時の悪戯にまかせて触れ合った、ただ、それだけなのだから。












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