気付いたとき。私にとって楽しいときってどんなときだろう。頬杖をついて考える。ガラス越しの、捕らえきれない人影。私にとって悲しいときってどんなときだろう。そっと顔を下に向ける。あの日、誰かに言われた言葉。私にとって大切なものは何だろう。ゆっくりと目を閉じる。ぽっと浮かぶ、あなたの笑顔。気付いたときには遅くても。私は目の前のものを掴みたいと思う。遅いとか早いとかじゃなく。気付いたときが始まりなんだと。そうしてまた、まっさらのページを埋める。