ご存じあさのあつこ先生の“弥勒シリーズ”。

念のため〈ご説明文⇩〉

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2006年にあさのさんが初めて手がけた時代小説『弥勒の月』から続く「弥勒」シリーズは、武士の身分を捨てた小間物問屋・遠野屋清之介と変わり者の同心・木暮信次郎、そして岡っ引きの伊佐治を軸に人間の心の闇を描く捕物帖です。

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実は、最新刊はシリーズ12作目『野火、奔る（のび、はしる）』（2023.10）で、そちらを先に読んでました。

※覚え書き⇩

『野火、奔る』読みました

↑

なんか今よむとめっちゃキャピキャピしてて恥ずかしい限りです凹

で、このたびやっと一冊さかのぼって、シリーズ11冊目のコチラ⇩を読むことができました。

あさのあつこ　著

『乱鴉の空（らんあのそら）』2022.8

〈紹介文〉***************************

北町奉行所定町廻り同心の木暮信次郎の姿が消えた。

奉行所はおろか屋敷からも姿を消し、信次郎から手札を預かる岡っ引きの伊佐治は、大番屋に連れていかれる。

伊佐治の解き放ちに奔走した小間物問屋『遠野屋』主・清之介は伊佐治と二人で信次郎を捜し始める。

一方、北町奉行所に不審な者の影が。

最後に待っている衝撃のラスト！　

100万部突破シリーズ、驚愕の第十一弾。

〈個人の感想です⇩〉********************

あらあら、主人公の片割れｗ信次郎が、ぜ～～～んぜん出てきませんｗｗｗ

姿をくらましてしまいました。

「失踪」してしまったのです。

うふふ～徹底して主人公が姿をあらわさない、、、そこが面白いくわだてでしたね。

その「不在」こそが逆に、信次郎の存在感を高めてました。

遠野屋の清之介にとっての信次郎。

そして長～～いつきあいで、うんざりしながらも離れられない伊佐治親分にとっての信次郎。

ともにやっぱり、なくてはならないんですよね「木暮信次郎」という存在が。

皮肉屋で気分屋でニヒリストでいやーーーな性格、遠野屋の女子衆からは忌み嫌われてすらいる信次郎…

だけど切れ者で、手回しもよくて、ノワールな魅力（？）があるんですよね～

いやいやわたしは清之介推しですけど、、、

でも信次郎も捨てがたく、、、

やっぱり伊佐治親分推しです！！（←聞いてない）

この作品で、ずーーっと脇役だった木暮家の女中さん・おしばさんがけっこうフィーチャーされます。

はじめておしばさんの「感情」がわかったりします。

なんともいえない味わい深さです。

登場人物のキャラクター（伊佐治親分のお店・梅屋の面々も）の魅力で読み進めるうち、物語りとしても最後の最後に「そうきたか～」な展開が待ってます。

あさのあつこ先生…なんておじょうずなのでしょうか。

いっつもあさの先生の手のひらでこ～ろころ、ですね（嬉）

でもあさの先生の対談を読ませていただいたところ、以外というか、やっぱりというか（どっちやねん？）

綿密なプロットを決めてから設計図どおりに精緻な物語を書き進めるタイプではなく、登場人物のことが「書いているうちにわかって」きて、その人物たちが物語を織りなしていく、、、そんなタイプの作家さんということです。

（⇩コチラの対談です）

時代小説でしか描けないものがある　あさのあつこさん「乱鴉の空」｜好書好日児童文学から大人の恋愛小説まで幅広い作品を送り出してきた作家のあさのあつこさんは、優れた時代小説の書き手でもあります。この夏刊行の『乱鴉（らんあ）の空』は、『弥勒（みろく）の月』から続く「弥勒」シリーズの最新作。本のトークイベント「...

book.asahi.com

このなかで、「自分で信次郎なり清之介なりを彫り出した、つかんだと思ったら、多分シリーズが終わるだろうと思います。」

とおっしゃってて……

いやいや、まだまだ読んでいたいので、細く長く「彫り出し」続けていただきたいですね！

（コチラのインタビューもぜひご参考に！⇩）

「弥勒」シリーズ累計百万部突破＆新刊『乱鴉の空』刊行記念インタビュー｜あさのあつこ『乱鴉の空』 | 本がすき。「弥勒」シリーズの勢いが止まらない。既刊も重版を重ね、ついにシリーズは累計百万部を突破した。熱望するファン

honsuki.jp

タイトルの「乱鴉（らんあ）」って…またしても読めませんし意味不明ですが、どうやら「カラスが乱れ飛ぶさま」らしいです。

そういえば、清之介も遠野屋の番頭・信三も子どもの頃にカラズのヒナを育てた思い出が出てきますが、、、

清之介のほうの「思い出」は、まぁ辛くて暗くて禍々しい結末で…ホントにおりんさんに出会わなかったらどんなことになってたか、、、

いまの「遠野屋」のぬくもりがあって、守るべきひとたちがいて、ほんとうによかったです。

一方の信次郎はというと、はなっからそんなもの求めてないんでしょうかね。

でも、あさの先生の手で、もっと以外な人間味もそのうち「彫り出し」て、見せてくれるのでしょうか。

これからも楽しみでしかありません。

『乱鴉の空』読みました。