わたしには女性の知人は多くても、女性の友は、ほとんどいない。
結婚していて仮面夫婦でもないため、男性の友人と買い物に行ったり、旅行にいくわけにはいかない。
夫が多忙のため、いつもわたしは一人で行動してきた。 海外だって一人旅である。
女たちは少し親しくなると、決まって「あなたのように美人でもない人が、どうして幸せな結婚をしているの?」
そう口にする。 仲好いふりを装いながら、嫉妬心をピシピシッと送ってきて、疲れてしまう。
病気のために共同生活に支障をきたして、二度も離婚したが、現在は三人目の夫と暮らしている。
親を頼れない代わりに、男性がフォローしてくれたお蔭で、今日まで生きてこれた。
わたしにとって、男性は恋愛対象というより、擬似的な親の愛を注いでくれる存在なのだ。
でも、母性にまつわる哺乳類としての感性が、わたしには欠落している。
それゆえ、子どもを授かることはできなかったようだ。
精神薬も効かず、ベビーカー親子の姿を見かけては泣いていた頃、わたしは哺乳類じゃなくて、恐竜かもしれないなぁと思っていた。
卵なら、、毎月産んでいるのに。。。
ips細胞で、ガンに犯された体を修復できるようになれば、卵から子どもをつくることだって、可能なようだ。
倫理委員の先生方に怒鳴られそうだが、どちらがいったい、生命の法則にかなっているのだろう。
わたしは自分の子孫を残したかった。 いや、母親になって、わが子をこの手に抱いてみたかった。
母が実の娘のわたしを、憎んではいなかったのだと、思いたかったのだ。