※登場人物
王女…リリアンヌ→「リ」と表記
召使…アレン →「ア」と表記
メイド…シャルテット→「テ」と表記
メイド…ネイ →「ネ」と表記
赤ノ娘…ジェルメイヌ→「ジ」と表記
緑ノ娘…ミカエラ→「ミ」と表記
白ノ娘…クラリス→「ク」と表記
青ノ王子…カイル→「カ」と表記
召使…グーミリア→「グ」と表記
村人1→「村」と表記
革命軍→「革」と表記
一部、歌を入れます。(悪ノ召使)
ナ「昔々あるところにとても我が儘な王女様が居ました。
王女様はお金をいっぱい使って遊んでばかりいました。
そして逆らう人達を次々と殺してしまいました。
あまりの酷さに王女様は『悪ノ娘』と呼ばれるようになりました。
人々はお金も食べ物も無くなりとても困ってしまいました。
大臣や民衆達が嘆く中、笑うのは悪ノ娘只一人。満足げな顔で今日も玉座に座ります。
リ「オーホッホッホッ。さあ、跪づきなさい!」
幕開け
黄色の国 王宮 リリアンヌ
リ「ちょっと、今日の紅茶を入れたのは誰じゃ!?」
テ「王女様!?」
ネ「どうかされましたか?」
リ「どうもこうも無いわ!紅茶が冷めておる。早く入れ直さぬか!!」
テ「い、入れ直して来るッス!」
リ「ああ、待て。シャルテットはやめい!お主にこれ以上食器を壊されてはたまらん。ネイ、そなたが入れてまいれ」
ネ「はい。只今」
ネイ退場
テ「そこまで壊してないと思うんッスけど…ちょっと亀裂が入るぐらいで」
リ「それを、壊すと言うのじゃ!先月だけで数百枚の食器を駄目にしておきながらよくもまあそんなことを言えるのぅ…」
テ「ス、スイマセンッス…」
リ「はあ、まったく、役立たずじゃのぅ」
アレン登場
ア「王女様ーー!リリアンヌ様ーー!」
リ「アレン、どうしたのじゃ?」
ア「王女様、こんな所にいらしたんですね!捜しましたよ!」
リ「はて、何の用じゃ?」
ア「『何の用じゃ?』じゃありませんよ。見て下さい、この書類。今日までに全て返答しなくちゃいけない書類なんですよ!どうすんですか?!!」
リ「そんなこと、わらわは知らぬ」
ア「王女様…困ります」
テ「アレンとリリアンヌ様、顔はそっくりなのに性格が真反対ッスね…」
リ「そんな書類、大臣にでもやらせておけば良い」
ア「仮にも一国の王女様がそんな事を言ってどうするんですか!」
リ「ほう。わらわに逆らう気か?」
ア「い、いえ。滅相もないです!」
リ「ククッ、そうじゃ。黙ってわらわに従っておれば良い」
教会の鐘の音
リ「あら、おやつの時間だわ」
ネイ登場
ネ「入れ直して来ました」
リ「おお、丁度良い」
テ「お茶の時間ッスね」
ネ「一緒にお持ちしました。今日はクッキーです」
リ「ほう、クッキーか」
ネ「はい。どうぞお召し上がり下さい」
リ「うむ。美味じゃ。――しかし、最近どうもわらわのおやつや食事が質素になっておる気がするのう…」
ア「それは今この国が深刻な食糧不足にあるからじゃないですか」
リ「だからといって、わらわのモノが少なくなるのはおかしい」
テ「皆食べてないッス…」
ネ「シャルテット!」
リ「あぁ!そうじゃ!もっと国民の税金を高くすれば良いのじゃ!」
ア「えぇ!王女様!?」
テ「只でさえ食糧不足なのにこれ以上減らされたら堪らないッスよ…」
ネ「それだけはお考え直し下さい」
リ「うるさい!よし、今日から税を今の三倍にするぞ」
ネ「そんなことをすれば民が反発してしまいます!」
リ「わらわに逆らう者等粛正すれば良い」
リリアンヌ退場
ア「これは大変ですね…」
ネ「確かに…」
テ「あぁ~こんなんじゃやってらんないッスよ」
ネ「何も起こらなければ良いけど」
テ「そうッスね…。そういえばアレン。アネさんがたまには帰ってこいって言ってたッスよ」
ア「ジェルメイヌが…?」
テ「――前みたいに義姉さんって呼ばないッスか?」
ア「今は、ね。今は一緒に居るわけじゃないし」
ネ「血は繋がっていないとはいえたった一人の家族でしょう?」
ア「……」
テ「王宮を辞めろってアネさんが言ってたッス。何でこんなに危ないのにやってるのかって…」
ア「僕は――僕は、自分のする事をするだけだよ」
ネ「さあ、そろそろ動き出さないと」
テ「でもっ…!」
ネ「理由なんて人それぞれでしょ。それを聞くのは理に反すると思うけど?」
テ「うう゛ぅ…」
ア「ありがとう、二人共。また近い内に帰るって言っておいて」
テ「うん」
場面転換
黄色の国 ジェルメイヌの部屋 ジェルメイヌ
ジ「さ~け~が~の~み~た~い~!!」
テ「アネさん最近そればっかりッスね」
ジ「だってお酒が飲めなくなって何日目だと思ってるの!?」
テ「ボクに言われても困るッス…」
ジ「そもそも、私、このジェルメイヌ様がお酒が飲めない理由は何!?」
テ「様ってアネさん…。まぁ、国が貧しいからッスね」
ジ「じゃあ、何故国は貧しい?」
テ「それはリリアンヌ王女様が…」
ジ「そう!それよ!只でさえ貧しいのに私達から税やら食べ物やらをぜぇ~んぶあの忌ま忌ましい『悪ノ娘』が奪うからよ!」
テ「アネさん、ちょっと落ち着いて下さいッスよ」
ジ「まったく、あの小娘は何を考えているの!?ああ、私のかわいいかわいいアレンも何であんな小娘に使えてるのよ?」
テ「なんか理由があるんッスよ。今日はぐらかされてしまったッスけど」
ジ「うーん」
テ「あ、また近い内に帰るって言ってましたよ」
ジ「本当ッ!?ってか私達の結婚式には来てくれるんでしょうね?」
テ「そりゃ、行くに決まってるッス」
ジ「まあ、来なかったらただじゃおかないけどね」
テ「ハハッ…。まあそれに、アレンとレオンさんは仲良いッスから」
ジ「そうね。アレン、私達の事また義姉さん、義兄さんって呼んでくれるかな?」
テ「そうだと良い(遮られる)」
村「ジェルメイヌ!大変よ!さっきそこでレオンさんのし、死体が見付かったって…」
ジ「え?」
テ「何言ってるんッスか?」
村「ジェルメイヌ…。私、私哀し過ぎて何も言えないわ…。もうすぐ結婚するって時だったのに…(泣き出す)」
ジ「どうゆう事なの?(泣き出す)」
村「こ、殺されたみたいなの…」
テ「誰に?」
村「わ、分からないわ。でも、きっと…」
ジ「あの悪ノ娘に決まっているわ!!!!」
テ「アネさん…」
ジ「レオンとあの小娘が仲が悪かったのは皆知っているもの。きっとあの小娘がやったんだわ!」
テ「…」
村「…」
ジ「絶対に、許さない!」
場面転換
緑ノ国 カイル・ミカエラ
カ「俺との結婚を考えてくれないか?」
ミ「カイル様…私は…」
カ「返事は今じゃなくていい。俺はずっと待っているから。もし君に好きな人が居るんだったら言って欲しい。俺が一番に願うのはミカエラ。君の幸せなんだ」
ミ「ありがとうございます。カイル様」
カ「……俺はもう行くよ」
ミ「はい」
カイル退場
ミ「駄目だよ、カイル様。あなたの仕事は隣の国の王女を振ることなんだから」
アレン登場
ア「ああ~疲れたなぁ…まったくリリアンヌ様は人使いが荒いよ…『隣の国のエルフェゴートまで行ってわらわの為に極上のオレンジを買ってくるのじゃ』なんて…」
二人歩きだし、ぶつかる
ミ「きゃあ!?」
ア「うわ!?」
アレン・オレンジを落とす
ミ「あ、ごめんなさい」
ア「すいません。大丈夫ですか?」
アレン、ミカエラオレンジを拾う
ア「ありがとう」
二人目が合う、後退
ア「な、なんて綺麗な人なんだ。僕は今までこんなに美しい人を見た事がない!」
ミ「なんて素敵な人なのかしら。まるで王子様みたい」
二人近付く
ア「ぼ、僕、アレンっていいます」
ミ「ミカエラ。私、ミカエラって名前よ」
ア「ミカエラ…素敵な名前だね」
ミ「ありがとう」
間
ア「ミカエラはこの辺に住んでるの?」
ミ「ええ、この先にあるお屋敷で使用人として働いてるの」
ア「使用人?僕と一緒だね。僕も隣の国の王宮で召使をしているんだ」
ミ「隣の国…そうなんだ…」
ア「どうかした?」
ミ「ううん。何でも無いの!あ…そう!ちょっと遠いなって思っただけよ!」
ア「?そ、そうだね。国が違うしそんなに逢いに来れないかも」
ミ「え?」
ア「あ、ご、ごめん。逢ったばかりなのに…僕何言ってるんだろ」
ミ「――そんな事ないと思よ。私もあなたに逢いたいよ」
ア「ミカエラ…ありがとう」
ミ「ううん」
微笑み合う二人 暫くしてアレン慌
てる
ア「し、しまった!早く帰らないと怒られる!」
ミ「!!――また、逢える?」
ア「絶対に逢いに来る!!」
アレン退場 クラリス登場
ミ「どうしてアレンを好きになってしまったの?アレンが私の事をっっ!………待ってるから。ずっと、ずっと待ってるから」
ク「誰の事を待ってるの?」
ミ「!?クラリス!驚愕した!急に出て来ないでよ!」
ク「ごめんなさい…。で?いったいどうしたの?」
ミ「えっと…嗚呼、どうしようクラリス!私、私、好きな人が出来たみたい…」
ク「えぇ?どういう事?」
ミ「(周りを見渡し、クラリスの耳元に囁く)」
ク「……それだけで?逢ったばかりの人に?」
ミ「大きな声で言わないでー!恥ずかしいでしょー!」
ク「あのカイルって人はどうするの?」
ミ「クラリス、本当にカイル様が嫌いよね…」
ク「だって…あんな優男ミカエラには勿体ないわ!」
ミ「もう、そんなこと言わないの!――どちらにしろ断る気だったし、良いのよ」
ク「――もし、私の事を気にしているんだったら、いいのよ」
ミ「気にしているのは、クラリス。あなたがカイル様より大切な友人だからよ」
ク「え…。あ、ありがとう」
ミ「クスッ。ところで何か用があったんじゃないの?」
ク「あぁ!そうだった!メイド長があなたの事を呼んでいたのよ」
ミ「嘘!?早く行かなきゃ!ごめん。先に行くね!」
ク「うん」
ミカエラ退場 グーミリア登場
ク「クスッ。ミカエラのあんな嬉しそうな顔初めて見た」
グ「それは困ったね」
ク「ッ!?あなたは、グーミリア様!」
グ「様なんてやめてよね。あたくしも只の召使なんだから」
ク「…」
グ「まぁいいけど。――カイル様の求婚を断るなんてさせないから」
ク「そんな!ミカエラはそんなこと望んでない!」
グ「あの娘の事なんて知らないよ。大切なのはカイル様が望んでいるか、望んでないか」
ク「そんなことっっ!!」
グ「あなたの意見も聞いていない。――言っておくけど、カイル様を哀しませるのだったら、あの娘も、あなたも、殺すから」
ク「…!?…」
場面転換
黄色の国 王宮 シャルテット・ネイ
ネ「アレン遅いわね」
アレン登場
テ「っあ、アレン、お帰りッス」
ネ「お帰りなさい。アレン」
ア「ただいま。二人共」
ネ「何か良い事があったの?」
テ「何か嬉しそうッス」
ア「別に。何もありませんよ…」
テ「本当ッスか?」
リリアンヌ歌いながら登場
召「ごきげよう。王女様」
リ「おう。――おや、アレン、帰っておったか」
ア「あ、はい。――ところで随分とご機嫌の様ですが、どうかされましたか?」
リ「うむ。カイルから手紙が届いたのじゃ」
ネ「カイル様から。――ではついに挙式の日取りが決まったのかしら?」
リ「そう焦るな(嬉しそう)」
テ「手紙には何て書いてあるんッスか?」
リ「わらわもまだ読んでおらぬ」
手紙を読むリリアンヌ
リ「…!?」
リリアンヌ手紙を破り捨てる
ネ「リリアンヌ様!?」
リ「緑の国を滅ぼしなさい」
テ「え…?」
リ「緑の国を…隣の国を滅ぼしなさい」
ア「ど、どうして?」
リ「五月蝿い!(泣き出す)アレン、大臣に言って来い!緑の髪の女は全て殺せと」
ア「――っ!?」
リ「早うせい!!」
ア「――はい」
アレン退場
ネ「リリアンヌ様、いったい何があったんですか?」
リ「カイルが…カイルが…」
テ「カイル様が?」
リ「エルフェゴートに…好きな人が出来たから婚約は無かった事にしてくれって」
ネ「そ、そんな…」
テ「今更そんな事…」
リ「きっと卑しい売女がカイルを誑かしたのじゃ!そんな女さえ居なくなってしまえばカイルも目が覚めよう!――緑の髪の女なんて、全て消え去ればよい!」
テ「そ、そんな横暴な…」
リ「わらわに逆らう気か?」
テ「…」
リ「黙ってわらわの言う事を聞いておればよい。――――シャルテット」
テ「っっ!!」
リ「兵士に指令を出せ!」
テ「…」
リ「エルフェゴートを攻め落とせ!皆殺しじゃ!」
テ「は、い…」
シャルテット退場
ネ「――私」
リ「ん?」
ネ「私、知っています。カイル様と一緒に居た女を」
リ「ほう、誰じゃ?」
ネ「(リリアンヌの耳元に囁く)」
リ「そうか…。ネイ、もう下がれ」
ネ「はい」
ネイ退場
リ「カイル…私を独りにしないで…」
アレン登場
ア「――リリアンヌ様、大臣が詳しく話を聞きたいと」
リ「そうか。今行く」
ア「…」
リ「アレン」
ア「はい」
リ「頼みがあるの」
ア「頼み、ですか?」
リ「『ミカエラ』という名の女を捜し出して殺して欲しいの」
ア「!?リ、リリアンヌ様!?」
リ「『ミカエラ』よ」
ア「しかし…」
リ「わらわの頼みなの」
ア「リリアンヌ様。それは」
リ「アレン」
ア「はい?」
リ「アレン。そなただけは私と一緒に居てくれ」
ア「リリアンヌ様…?」
リ「もう、独りは嫌だ。カイルが居なくなってアレンも居なくなるのは嫌だ」
ア「――」
リ「カイルを取り戻したい。だから、私の願いを叶えてくれ」
ア「はい…」
リ「アレン。頼んだぞ」
リリアンヌ退場
ア「ミカエラ…。本当に君なのか?とても美しいミカエラ…。
僕のリリアンヌ…。
――リリアンヌ。君の為なら僕は悪にだってなってやる」
場面転換
緑の国 広場 クラリス・ミカエラ
ク「今日は嬉しそうね」
ミ「今日、アレンが逢いに来てくれるって」
ク「本当?逢ってみたいなー。あっ、でも邪魔なんてそんな無粋な事はしないよ」
ミ「あら、大丈夫よ。きっとアレンはあなたの事も好きになるわ」
ク「そうだといいけど――あ、私仕事に戻らなきゃ」
ミ「そっか。じゃあね。バイバイ」
ク「やーね。なんかもう逢えないみたいじゃない」
ミ「そう?ごめん」
クラリス退場
ミ「ごめんね。クラリス。あなたを独りにして」
アレン登場
ア「ミカエラ!」
ミ「アレン!」
ア「逢いたかった」
ミ「私もよ」
二人見つめ合う
ア「あ、あのさ。ミカエラ」
ミ「何?」
ア「カイルって人、知ってる?」
ミ「カイル様?知ってるよ」
ア「様――?――っあ――恋人…なの?」
ミ「――恋人?……あ、周りから見ればそう見えるのかな?」
ア「…?」
ミ「カイル様から求婚はされたけど、私断ったから」
ア「そ、そうなんだ」
ミ「アレン。――いいのよ」
ア「え?」
ミ「分かってるから」
ア「ミカエラ?」
ミ「私、あなたにだったら殺されてもいいと思ってるのよ」
ア「ミカエラ!?」
ミ「私が居たら、あなたの大切な人を助けられないでしょ?」
ア「――――(ナイフを取出す)」
ミ「(微笑む)」
ア「――ミカエラ。僕は…」
ミ「私、アレンに心から感謝しているのよ」
ア「え?」
ミ「私は初めて会って直ぐにあなたが好きになったわ。――心から誰かを愛するって事を知ったの…。アレン。あなたが好きよ」
ア「ミカエラ。――僕も君が好きだ」
ミ「あなたに殺されたいと願ったのは私の我が儘よ(ミカエラ、アレンとナイフを手に取る)」
ア「ミカエラ、僕は、僕の大切な姉の為に悪になる」
ミ「私はあなたの為に悪になる(アレンの手ごと自分にナイフを突き立てる)」
ア「ミカ・エラ…」
ミ「あり・が・とう…(倒れる)」
ア「ミカエラ、ミカエラ…うわあ――――――――あぁぁぁ」
アレン退場
クラリス登場
ク「ミカエラーー。どこに居るのー?ミカエラー。――いきなり戦争だなんて――――ミカエラ。どこに居るの?」
ミカエラを見付けて駆け寄る
ク「ミカエラ?ミカエラ??どうして?――いったい誰がこんな事を?ミカエラ。ミカエラ。お願い。目を覚まして!!」
グーミリア登場
グ「その女、死んだのか?」
ク「いったい何が起こってるの?」
グ「嗚呼、隣の国だよ」
ク「隣の国?アレン?」
グ「あの召使がアレンという名ならば、お前の考えている通りだろうな」
ク「ミカエラは最後にアレンに逢うって言ってたわ!どうしてアレンが…?許さない!ミカエラはあんなにアレンを愛していたのに!絶対に、許さない!」
グ「そうかい?カイル様は隣の国を滅ぼすつもりだよ」
ク「どうしてそんな事私に言うの?」
グ「何故だろうね――クラリス。どうするつもりだい?」
ク「――勝手にさせてもらうわ」
グ「そうかい。あぁ、でも、カイル様の邪魔をするんじゃないよ」
暗転
黄色の国 広場 ジェルメイヌ
ジ「ついに時は来た!」
シャルテット登場
テ「アネさん!大変ッス!エルフェゴートが!」
ジ「分かってる。これ以上あの悪ノ娘の好き勝手にさせない!」
テ「そうッスね」
ジ「シャルテット。――今こそあの悪ノ娘を討つ!」
カイル・グーミリア登場
カ「その話、俺も寄せて貰えないだろうか」
ジ「誰?」
カ「俺もあの悪ノ娘に大切な人を奪われたのだ」
ジ「そう――」
テ「アネさん。こいつらの事信じるんッスか?」
ジ「私には嘘を付いているような気はしない」
テ「アネさんがそう言うのだったら」
ジ「ありがとう」
頷き合う二人
ジ「行くよ!」
民衆が集まる
ジ「お前達!時は来た!」
民「おぉぉ!」
ジ「我々はずっと苦しめられてきた!貴族達に!あの忌まわしき王女に!だがそれも今日で終わる!今日が全てな終わりであり、全ての始まりだ!お前達!お前達に戦う勇気はあるか!」
民「オォォーーッ」
ジ「お前達の楯はなんの為にある!?」
民「最愛の家族を護る為に!」
ジ「お前達の勇気はなんの為にある!?」
民「この国の真の平和を守る為に!」
ジ「お前達の武器はなんの為にある!?」
民「悪ノ娘を討つ為に!」
ジ「行くぞ!同胞達!革命の時は来た!!」
民「オオオォォォーーーーッ!!」
全「悪ノ娘を散らせーー!!」
場面転換
黄色の国 王宮 リリアンヌ
アレン登場
リ「アレンか」
ア「今日のおやつはブリオッシュです」
リ「そうか…(食べる)」
ア「お味はいかがですか?リリアンヌ様」
リ「ちょっと甘味が強いかのぅ。ブリオッシュは薄味の方が好みじゃ」
ア「そうでしたか…」
リ「…わらわは…殺されるのか?」
ア「それは…僕には分かりません」
リ「そうか。だが、おそらく捕まれば処刑されるだろうな。わらわが今までしてきた事を考えれば……民はわらわを許しはしないだろう」
ア「…………」
リ「アレン…わらわの手を…握ってくれぬか?」
ア「(握る)」
リ「なぜかの。お主に手を握られると、とても安心する」
ア「リリアンヌ様」
リ「アレン。わらわは…私は、お母様の様になりたかった!優しく、気高かったお母様。――お母様の様に我を突き通す強い女になろうと思っていたのに……でも、皆私から離れてしまった」
リリアンヌ泣き出す
リ「――私は独りぼっち……でも、アレン。あなたは最後まで私の傍に居てくれた」
ア「リリアンヌ様」
リ「ありがとう。アレン。本当にありがとう。――最後にそれだけ言っておきたかったの」
ア「リリアンヌ様。――僕は今まであなたの願いを何でも叶えてきました。だから、今度は僕の願いを聞いてもらえますか?」
暗転
黄色の国 広場 ジェルメイヌ・シャルテット・ネイ
テ「ネイ!」
ジ「メイド?――あなたに手を出す気はないわ。逃げなさい」
テ「ネイ!早く逃げるッス!」
ネ「シャルテット…私は逃げない」
テ「ネイ!どうして?」
ネ「悪いですが、ここから先誰一人通させない!」
テ「ネイ?どうして…?」
ジ「あんな悪ノ娘の為に?」
ネ「そうね。リリアンヌ様は悪逆非道でとっても悪い人…」
ジ「だったら…」
ネ「でも私は先王に頼まれたのです。リリアンヌを頼むと、直々に仰せつかった。だから、私はこの任務を命尽きるまで遂行する」
ネイ、武器を構える
テ「…ネイ…」
ジ「最後の警告よ。逃げない」
ネ「ありがとう。でも、これが私だから」
ジ「そう。じゃあいいわ。私が相手になる」
三人戦闘
ネ「シャルテット。あなたが革命軍にいるなんてね」
テ「ボクは、この国を変える」
ネイ・シャルテット力比べ
テ「今の内に行って下さい。アネさん!」
ネ「そんな事させない…ック…」
ジェルメイヌ退場
ネ「クソッ!」
テ「今は革命の時ッス。ネイ、もう諦めるッス」
ネ「無理ね――どうする?私を殺す?」
テ「そんな事」
ネ「出来ないなんて言わせないわ。革命だなんて言って、只怒りに燃えた殺人の集団よ!」
テ「一番の人殺しはあの王女ッス」
ネ「所詮は皆同じよ!」
テ「そこまで言われて黙っておけないッス」
戦闘の後シャルテットが勝つ
テ「ネイ…」
ネ「所詮は私も一緒…」
ネイ倒れる
テ「ネイ…ボク等は何なんッスかね…」
シャルテット退場
カイル・グーミリア登場
グ「王女の部屋はこの先みたいです」
カ「そうか…グーミリア」
グ「はい」
カ「付き合わせて悪かったな」
グ「いえ。あたくしはカイル様が笑って下さるのならば、どこまでもついて行きます」
カ「ハハッ。ありがとう。――なあ、グーミリア」
グ「はい」
カ「俺は何がしたいんだろうな」
グ「?」
カ「ミカエラには『お前が幸せならそれで良い』と言った。――でも、それは嘘だ。他の誰かに向かって笑っているのを見て、俺は――」
グ「カイル様――もういいですよ」
カ「ミカエラが死んだと聞いた時、俺は内心もうあんな思いをしなくて済むと安心してしまった…」
グ「カイル様!カイル様がそんなにお悩みになる必要はありません!カイル様は…」
カ「ありがとう。――――これからも付いて来てくれるか?」
グ「どこまでも」
カイル退場
グ「カイル様の総てをあたくしが背負います」
場面転換
黄色の国 王宮 入れ代わったリリアンヌ・アレン
リ「ハハッ。アレン。以外と似合っているじゃない」
ア「そうですか?」
リ「いきなりお願いと言われて何かと思えば服の入れ替えとは…。しかし、こうして見ると私とアレンは本当に良く似ている…」
ア「本当ですね…。ここまで一緒になるとは思ってませんでした」
リ「自分で言っておいてか?――それにしてもこの服。見窄らしいけど、着てみるとなかなか動きやすいわ」
ア「それは良かったです。その服ならば王宮から首尾よく抜け出せるでしょう」
リ「何を言っているの?アレン」
ア「リリアンヌ。その服を着て逃げるんだ。時々使っていただろう?あの抜け穴を出た所に馬を待たせてあるから、すぐお逃げなさい」
リ「馬鹿言わないで!王宮に私が居ない事が分かったら直ぐに捜索の手が入るわ!逃げ切れるわけ…ない」
ア「大丈夫。王女様はここに居るんだから」
リ「そんな…駄目!駄目よ!いくら似ているからって、所詮は他人だもん!直ぐにばれちゃうよ!」
ア「大丈夫。他人じゃないんだ。僕等は双子。双子の姉弟なんだ。きっと誰にも分からないさ」
リ「え……?」
ア「リリアンヌは覚えてないんだよね。でも、僕はずっと覚えていた。離れても、召使としてここに来た時もずっと、ずっとね」
リ「何で?……そんなことしたら、アレン。死んじゃうよ?殺されちゃうよ?何で?何でアレンが」
ア「リリアンヌ…君は悪い子だ。だけど君が『悪』だと言うのならば、僕だって同じ血が流れてる。――僕が君を守るから、君はどこかで笑っていて」
リ「…嫌だ…嫌だよ…アレン…」
ア「駄目だよ…リリアンヌ。強い女は泣いちゃいけない。…っあ、別にいいのか。君はもう悪ノ娘じゃないんだから」
アレン・リリアンヌを外に出す
リ「待って!アレン!」
ア「知ってた?リリアンヌ。この扉、ちょっとした仕掛けがあってね。そっちからは開かない様になっているんだ」
リ「(泣きながら)待って。待ってよぅ。アレン。行かないでぇ。私に、アレンの事、もっと、もっと昔の事…教えてよぅ…」
ア「……じゃあね、リリアンヌ。僕は行くよ。君も直ぐに抜け穴から逃げるんだ」
リ「待って!行かないでよぅ……。お願い。独りにしないでぇ」
ジェルメイヌ・カイル・グーミリア登場
ジ「あれが、悪ノ娘」
カ「リリアンヌ。俺はお前を許さない」
グーミリア、アレンに近付く
ア「寄るでない!!」
グ「往生際が悪い」
グーミリア、手を取るが、アレンはね退ける
ア「この、無礼者!」
場面転換
黄色の国 牢獄 アレン
ア「(歌を歌っている)」
ジェルメイヌ登場
ジ「こんにちは、王女様。私は革命軍のリーダー、ジェルメイヌ。王女、あなたの処刑の日取りが決まったから伝えに来たわ」
ア「ハ、ハッハッハッ!」
ジ「何を笑っているの?自分が死ぬ事が分かって可笑しくなってしまったのかしら?」
ア「ククッ。ジェルメイヌ。その名、知っておるぞ」
ジ「――そう。――処刑は二日後の午後三時よ」
ア「用件はそれだけか?ならばとっとと去れ。わらわは疲れておる」
ジ「ちょっと待って!――これはどういう事?どうしてあなたが…」
ア「どうしたのじゃ?」
ジ「アレン、アレンでしょ!?どうして…!?」
ア「何を言っているのじゃ?そなた気でも振れたか?」
ジ「アレン!!……あなたは私のたった一人の弟でしょう…?」
ア「――――久しぶりだね、ジェルメイヌ」
ジ「――――アレン!どうして?あなたがどうして?」
ア「僕とリリアンヌは双子なんだよ。僕は姉を助けた。それだけだよ」
ジ「だからってあなたが死ぬ意味はない!今すぐ誰かに言って…」
ア「それは無理だね――カイルと言ったか。革命軍に入った彼は確かマーロン王だったか?彼が僕を王女として処刑する事を決めたんだから」
ジ「ど、どうして?そんなの納得いかない!」
ア「そうかい?――――でもね、僕だって『悪』なんだよ」
ジ「何言っているの?あなたは何もしていないじゃない!」
ア「ミカエラ…レオン…」
ジ「レオン…?」
ア「誰が殺したんだろうね?」
ジ「あなたがレオンを殺したというの?」
ア「さあ、どうだろうね?」
ジ「どう、して…?」
ア「嗚呼、そうか。分かったよジェルメイヌ。君が革命を起こしたのもそれが理由だろ?ハハッ、何て事はない。君は正義だとか平和だとか、そんな事を大義名分にしていただけで、そうじゃない」
ジ「違う…私は…」
ア「これは復讐だ。君は自分自身の復讐の為に民を利用した。只、それだけだ!」
ジ「…違う…」
ア「違うもんか!ハハハッ。笑わせるね。この革命で多くの人が死んだ。君は英雄気取り見たいだけど、僕にしてみれば君もリリアンヌも大して変わらない。自分の欲望の為に民衆を利用する…リリアンヌがそうなら君も『悪ノ娘』だ!」
ジ「やめて…」
ア「安心してよ、ジェルメイヌ。僕が君の復讐の手助けをしてあげるよ」
ジ「お願い…もうやめて…アレン…」
ア「君の仇は…君の憎む『悪』は、この僕が全部背負ってあげるよ」
暗転
処刑場 革命軍・ジェルメイヌ・カイル・シャルテット・グーミリア左側
リリアンヌ右側
ジ「どうして、こうなったの?私の弟がどうしてここに居るの」
グ「あなたが死ねばカイル様は笑って下さる……」
アレンが兵士に真ん中に連れて来られる
革「悪ノ娘だ!殺せ!我等に正義を!義は勝つ!勝利は我等に!」
リ「アレン……アレン……私を……独りにしないでぇ」
兵「何か言い残す事は?」
鐘の音
ア「あら、おやつの時間だわ」
ア「もしも生まれ変われるならば、その時はまたあそんでね」
