あの日の輝きをずっと覚えている。

 

高校3年生の9月から付き合い始めた。

受験シーズン真っ只中で、同じ大学に進学するため毎日勉強に励んでいた。

 

基本的に勉強優先。

その中でも週に1回だけ、一緒に帰る時間が唯一の楽しみだった。

 

友達に見られるのが恥ずかしくて、

お互いの勉強に区切りがついた頃に、校舎から少し離れた路地裏で待ち合わせした。

 

お互いの家は学校から見て真逆の方向なのに、

いつも私の家の近くまで送ってくれていた。

 

日が暮れるのが早くなって、帰る頃には既に星空が見えていた。

 

ふと見つめて笑い合った時、

彼の瞳には溢れそうなくらいたくさんの星が映り込み輝いていて、

「こんなに綺麗な瞳の人が、現実にいるんだな」としみじみ思った。

 

あれから10年以上経っているのに、

既にあの日々は終わっているのに、

もう隣にいないのに、

星空を見上げると、同時にあの瞳を思い出す。

 

温かい時間だった。もう一度戻りたいと思うくらいには。