次男坊が彼女を連れて食べ歩きをしている。暇だから俺も一緒にうまいところへ連れて行ってやるか、と思ったら長男坊に止められた。曰く「お父さんが教えてくれた店に得意気に連れて行ってるんだから。」ああそういうことか、と納得しつつ可笑しくなった。

身に覚えがある。嫁さんと付き合い始めた頃、随分親父の名店シリーズにお世話になったっけ。アイツもそんな歳になったのか、俺も歳をとるはずだ。

親父に連れ歩かれた店で忘れられない店がある。大宮の桜木町交差点に出ていた屋台のラーメン屋。名前も知らない。中学生の頃、2時3時まで勉強するのが当たり前(何せ四当五落の世代だから)で12時過ぎた頃にたまに親父が「ラーメン食いに行くぞ」と言い出す。兄貴と2人で車に乗せられ桜木町へ。美味しかった。どんな味?いや、醤油のあっさりした・・・。細部は覚えていない。でも美味かった、また楽しかった記憶。丼が熱くて持てず食台の上で食べる兄弟。傍らで親父は丼を片手に立ったまま平らげていく。その姿に大人ってスゲエと思いつつ一生懸命にすすった夜中の屋台の記憶。

嫁さんをエスコートしたのは上尾の吉野町交差点に出ていた屋台。ここも親父が教えてくれたので同じ屋台か、同じ系列だったと思う。初めての屋台に大喜びのカミさんに得意気に丼を片手に食べて見せた20代の記憶。そこでも見なくなって次に発見したのが南浦和駅の東口。多分同じ屋台だったと思う。あくまで、だったと思う、としか言えない舌の記憶。違うかな?そして最近見つけたのが東大宮駅の西友付近。同じ屋台?うーん、もうかなり曖昧な舌の記憶。ただ店名の「北国」には見覚えがある。桜木町交差点の北側に坪店で一時期「北国」という店がありそこにも親父に連れて行かれた。と、すれば・・・。

そう言えば次男坊と東大宮駅の屋台にも行ったことがあったな。アイツはあそこにも彼女を連れて行くのかな。その時は丼を片手に立って食べるのかな、とほくそ笑む。親から子へ、子から孫へ。引き継がれていく舌の記憶と懐かしくも微笑ましい思い出。

今は珍しくなった屋台ラーメン・夜泣きそばの文化を懐かしんで。ありがとう、たくさんの思い出。