話は過去に戻ります。


※この内容は死産に伴う帝王切開術の話です。

読む事で精神的負荷が強くかかる

ご心配のある方はお気をつけ下さい。






この話の続きとなります。






一睡も出来ぬまま

手術の朝を迎えたまる。




ゆーとちゃんの2人は

夫の親に任せる事が出来たらしく、

(元)夫が病室に入ってきました。


※以降、当時はまだ婚姻関係がありましたので元夫は夫と表記します。




おずおずと入室した夫は

昨夜の自らの態度を申し訳なく思ってか

言葉少なでした。



確かに申し訳なさそうでしたが

申し訳ないという言葉はありませんでした。




前の不倫の時と一緒ですね。




責められないから謝らない。




でも申し訳ない気持ちだから

大人しくしている。





夫の口癖の一つは


言わんでもわかるやろ


でした。




まさに有言実行ですよね。




常態化すると

こんな態度取られた方は

どんどん気持ちが離れていくと言うのに。




ましてや

まるは昨夜の地獄を経た後。



子供達の安否を気にする他

まるは夫に自分の事を話す余力は

ありませんでした。





淡々と手術の準備が進み、

手術室へ向かうまるは

夫から距離が出来る事に対して

安堵すら覚えました。




本当なら

昨夜の苦しみを話したかった。

本当なら

手術が怖いと言いたかった。

本当なら

赤ちゃんを産んであげたかった。




そんな気持ちを抱え、

手術台に上がり

それまで冷静に手術に挑んでいたまるは

麻酔が始まる直前に

思わずその場にいた人の手を握りました。



嫌だ



という気持ちが

溢れてしまったのです。




手を握られた人が

一瞬

ビクッとした様子なのがわかりましたが、

その方は優しく力強く

まるの手を握り返してくれて、

まるはやっと呼吸が出来たような

気持ちになり

涙を流しながら意識を失いました。


麻酔が効いたのでしょう。







誰かの声が聞こえます。



わからない、誰?


でもね

起こさないで。



もう寝ていたい。




眠い



と一言発して


現実から逃げるように

まるはまた目を閉じました。