「年下の男」 登場人物
◆佐川 笑真(さがわ えま):
都内で働く29歳のOL。1年付き合った彼と別れたばかり。
過去に同じ男性に4回ふられたトラウマ有り。
男なんて馬鹿!と思う矢先、一つ下の崇文と出会い・・・・
◆三島 崇文(みしま たかふみ):
笑真と同じ会社で働く営業マン、28歳。人あたりがよく 運動神経がよい。マイペース。
猫目で年上の女性が好み。
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4.そしてすれ違った二人
クリスマス。
忘年会。
年末。
慌しく日は流れ、あっという間に 年が明けた。
今日から新しい1年のはじまりだ。
「うーん」
ベッドから起き上がり、朝日を浴びて ノビをする。
気持ちいい。
今年は、良いことが たくさんある気がする。
うん、きっと そうに違いない。
ブルルルル・・・・
ケイタイに メールが届いているのに気づく。
そのうちの一通は、香奈からの“あけましておめでとう”メールだった。
『あけましておめでとー!笑真、実家に帰ってるの?
私はイッチーに初詣に誘われたよ。キャー!( ´艸`)
今年もヨロシクね!
☆香奈☆』
あの飲み会以来、香奈とイッチーはイイ感じだ。
5つ下のイッチーに対して、最初は引いていた香奈だけど
上手に場を盛り上げてくれる、無邪気なイッチーが可愛くなり・・・
イッチーも、気配り上手で優しい香奈を 慕っているよう。
『あけましておめでとう!私は実家でノンビリ過ごしてるよ。
初詣デート、いいなあ。
しっかり清純派を演じて・・・なんてね(笑)
今年もよろしく(^O^)/』
・・・送信 っと。
あの飲み会は 冬のはじめだったっけ・・・・
香奈は自称「オトナギャル」で、決して清純派ではないけれど。
イッチーの好みの“長澤まさみ”路線ではないけれど。
自分の気持ちを 素直にだして、相手との関係を築いている。
それに比べて、私は・・・
ケイタイをベッドの脇に置いて、もぞもぞと着替えはじめる。
私の今日の予定は、家族で初詣だ。
外は寒そうだし、ジーンズにタートルでいいかな・・・
「笑真ー?起きてるー?
朝ごはん食べるわよーー」
「起きてるよー、今 行く!」
リビングから母親の声がして、部屋を出ようとすると
ブルルルル・・・・
ケイタイにメールが 届いた。
香奈からの返信だ。
『白いコートで可愛さアピールしてくるよ(笑)
会社はじまったら、同期で新年会でもしよーよ!
あ、そうそう --
・・・コンコン!
その時、なかなか姿を見せない私に痺れをきらした母が
部屋のドアをノックした。
「笑真?!何してるの?
お父さんも待ってるわよ」
ガチャ。
母がドアを開けて、部屋を覗き込んだ。
「笑真?」
「・・・今、行く。」
「・・・・どうしたの?」
「・・・何が?」
「だって・・・・
なんだか 泣きそうな顔してるから」
・・・泣きそうな顔?
私が?
「・・・なんでも、ないよ。
行こ、お腹すいた!」
「・・・そう?なら、いいけど。。」
机の上に、ケイタイを置いて リビングへ出た。
画面に浮かぶ文字列。
『さやかと三島くん、
ついに付き合いだしたらしいよ!(≧▽≦)』
・・・泣くわけない。
悲しくない。
辛くもない。
香奈に比べて さやかに比べて、私は・・・
素直になれず、頑張らなかった。
・・・頑張れなかったんだもの。
そんな資格・・・
あるわけ、
ない。
