10月14日 木曜日
父の再入院が決まりました
父は毎週木曜日に早朝会議がありました
こんな時くらい
と反対しましたが
やはり会社へ行きました
スーツを着て車で出勤した父の後ろ姿
この日のスーツ姿が
私が26年間見続けた父の最後のスーツ姿になりました
父は早朝会議の後もギリギリまで仕事をして
入院時間ギリギリに病院へ到着したそうです
会社の方に車で送ってもらって母と合流するも
既に歩ける状態ではなく車椅子で入院することに
日々悪くなっていく体調
父が一番理解していたのでしょう
今回の入院はしっかり休養する
そう宣言していました
そうは言いつつも病室には
毎日会社の方が来てくださり
あの物件はどうなっただの
設計はどうだの
仕事をしないという選択肢はなかったのです
それでも仕事をしている時の父は
本当に活き活きしていて
癌だなんて思えないほどだったので
私たち家族は何も言えませんでした
自分の仕事に責任と誇りを持っていた父
父は自分の携わった仕事全てを覚えていて
30年以上たった今でもアフターサービスを
忘れずにする人でした
仕事が終わっても人との繋がりは続くからと
人との繋がりを本当に大切にする人でした
この頃には父のお客さんにも
父の容態は伝わり始め
たくさんの方がお見舞いに来てくださいました
父はその度に
必ず元気になってまた仕事行かせてもらいますんで
と笑顔で話していました
それでも
もう長い距離を歩くことはできず
来客の見送りにも病室の扉までが精一杯でした
1ヶ月前の三分の一しか
歩けなくなっていたのです
