今日は当直の俺。治療を始めて少し精神が不安定になって来た優。さっきだって、大きな声出して怒っちゃったし…。ちょっと覗きに行くか。
……
病室に入ると全部カーテンが閉まっている。一人一人見て行って後は優だけ。
優のベッドのカーテンを覗くと、顔を真っ赤にして浅く苦しそうに息をしている優。
渉「優⁈どうした⁉︎」
優「…ハァッ…だい…じょぶ…だから。」
渉「今、楽にするからな。」
優「…だい…じょぶ…だって…ヴッ‼︎」
なんで、こんな状態になってもナースコールしなかったんだろう。俺は看護師さんに点滴とかを持って来てもらうためにナースコールを押そうとすると…。
渉「……⁈」
優が弱々しく熱い手で掴んできた。
優「…いい…から。もう…いい。…お仕事、してきて…?」
渉「俺の仕事はお前の病気を治すこと、お前を治療することだ。」
優「…ゴボッ‼︎…ゲボゲボ。」
優の枕が吐瀉で汚れていった。
俺はすぐに、看護師さんに点滴や酸素マスクを持ってきてもらった。
看「心電図付けますねー。」
渉「優、マスクつけるよ。ゆっくり息してな。」
優の意識レベルが低下してって、もう、抵抗する力も無くなっていってる。
優「…ハァッハァッ…」
渉「点滴入れるよ。」
肺炎かもしれない。一応レントゲンを撮ってみた。
…
やっぱり。肺炎だ。優を個室に移した。ここの個室はナースステーションの中にあって、360度ガラスの特別室。容体が悪化してもすぐに処置出来るようにここに入れた。
優「…わた…にぃ…ごめん…な…さぃ」
優が弱々しい声で謝ってきた。
渉「なんで謝るの?優悪くないよ?」
優「…また…迷惑…かけた…から」
迷惑?
もしかして、こうやって治療することが俺にとって迷惑だって思ってたのかな?
そんな事は微塵も無いのに。
渉「もう、喋らないで。苦しいでしょ?」
優は返事もなく、眠りについていた。
迷惑だなんて…。
寝ている優の鼻にチューブを入れた。優の目からは一筋の涙が。
俺は部屋を出てデスクに戻った。
♫~♫~♫
ナースコールが鳴った。風磨からだ。
渉「どした?」
菊「きて。」
風磨はそれだけ言って、ナースコールを切った。
風磨の所へ向かうと、カーテンを開けてベッドに座っている風磨がいた。
菊「妹さん、大丈夫?」
渉「あぁ。肺炎だから。」
菊「そっか。あのさ、さっきから吐き気が凄いんだけど。」
渉「吐き気止め打ってなかったっけ?」
菊「打ってない。」
風磨は優と同じ白血病。四年前からずっと入院している。
俺は風磨に吐き気止めを打って病室を出た。そして、デスクに戻ると、起き上がろうとしている優が見えた。
渉「優‼︎何やってるの⁈」
優「…痛い‼︎痛いよ‼︎」
渉「どこが痛い?」
優「ゔっ‼︎あ"ー‼︎痛い‼︎ゔー‼︎」
渉「どこが痛いの⁇」
優は体をジタバタさせて、痛みを訴えてきている。
俺は看護師さんに手伝ってもらって、優に鎮静をかけた。
すっかり鎮静で眠った優の寝顔はどこか哀しく苦しそうだった。
