お年寄りの世話が終わって
帰るまでの時間に仲間内で話しよる最中の私
嫌になるほど美知子の姉である叔母そっくり
叔母のほうが意地悪い顔をしとるんやけど
ひいばあちゃんがロシア人な事が災いして
こんな顔に出来上がったんやな
緑さんが願ったように
何が起きても冷静に対処が出来る
壁があったとしても蹴破る術を知っとる
息子の優求は私に似てしまったばかりに
波乱万丈な人生になってしまったけど
本当に良い男に成長したと思うよ
成人式に全身黒のスーツを着た姿は
イケメンに育った事に感謝したぐらい
性格的に白いＹシャツを着ると思いきや
Ｙシャツも黒ネクタイはエンジに近い赤
血は争えんというけど私はおじいちゃん似
ゆうきは私に似たのでこうなんやろな
何で息子の話をするかというと
時が来たとしか言えん
声優になるのもそやろけど
私の人生も息子の人生も変わるんやろ
寅年生まれでもウサギのような息子
卯年生まれでも虎のような私
美知子と親父は昭和２５年生まれやから
初孫の優求も寅年で１９９８年生まれ
８ヶ月の時に死にかけ３歳になったばっかで
車に轢かれそうになった時に助けられた子
私が名前を叫んだ瞬間
３歳のゆうきが立ち止まった時
車が止まると同時にゆうきが歩道に戻ってて
私を見て大泣き
それを見て私は自分の行く末を知ったんよ
因縁の恐ろしさは体験中やったけど
息子が殺されるって本気で思い知らされたなぁ
女の跡継ぎの私は殺したい子孫
男の跡継ぎの優求は許せぬ恨みを晴らす子孫
手放した時は辛すぎたけど生きとるやんか
私が３０代全てを使って
死にかけながらも不幸や理不尽を受けとめて
因縁の思うままに償いをしつつ生きてたけど
３９歳の時に急性腎盂炎になって死んだんよ
一瞬の出来事 あー死んだわ 、ってね
自分を眺めるとかなく
一瞬であの世に逝って目の前に先祖
その時も未練なんぞ全くなく 私は４０代で死ぬと言われてたしな と思い
車の運転を止めて免許を返納したって
別の死因があったか 、、、と考えよったなぁ
ゆうきが自動的に跡継ぎになる
ひいじいちゃんの孝髙
母親のちえ
息子の優求
こう並べてみても逃げられん話だと思うやろ
優の漢字を使うのを譲らず
響きを ゆうき としたのは私の独断
姓名判断の口コミで有名な人に頼んで
優求 となった時に申し訳ないけど
優しさを求める 、って私の願いもあって
私は人の優しさを感じるだけで家族の愛情
優しさを感じる事なく生きてきたやんか
憂となるのも承知で優を使い
息子の強さに賭けたんよね
手放さんと死ぬ運命だとか
怖い話になるけど私は自覚しとったんよ
跡継ぎと認められんかったほど
緑さんに対して冷たすぎた叔母の手で壊される
おじいちゃんの死因も知った上で
因縁の怖さは筋金入りな齋藤家だとも
ロシアの血が混じろうが親戚が増えるだけで
あちらの恨みも含まれてしまう事態になる
３歳半から私がおらん生活をさせたけど
あの子はあの子で生きてくれたやん
本気で出産の時に
私もあのまま出血多量で死んで
ゆうきも突然死で死んでたら良かったとか
手放すより２人一緒に死ねたら良かったとか
色々と考えて悩みまくったけど死ねんやん
あの子の父親も複雑やったやろ
だんだん私に似てくるのは容姿だけやなく
考え方も影がある姿も意志が強い部分も
口数が少ない姿も私そっくりなんよ
愛ちゃんは幸せな子
優求は私を覚えとるから不幸な子
そういいたくないけど
こう思うのが大切やったんよ
自分は私に捨てられたと思い続けて
私を恨んだ時期も必要な時間で
苦しむと分かった上で私は手放したんよ
美知子になじられても
母親の資格なし！と言われたって
自分の子を殺さないかん時が来るとか
叔母に壊される前に事件になる 、とか
美知子は凡人やから分からんかった
私を見れば分かるのに
見て見ぬふりした時間が長すぎたのか
母親としての態度が許せんかったのか
壊されたのは私の家族で一家離散したやろ ？
私が家を出た時から分かっとったけど
因縁も怖いけどその因縁に立ち向かってきた
先祖たちの怒りの方が私は怖い
因縁は私が共に生きると決めて
受け入れたから悪さもしないで
一家離散も受け入れたんやから良いやろ
ゆうきは来年で２４歳
やっぱり ２４ って数字やったね
ゆうきは５月２４日 を選んで生まれた
母の私は ８月２４日 に生まれた
２４歳になるまで
親子離れ離れになるって辛すぎた
やっぱり息子の方が私より良い子
よく耐えたと思う
耐えた先に私が居るけど
自分を産んだ母ちゃんが私やろ ？
そりゃあ 、悩んだりもするよ
女にしか見えんのが母親
マスコミとの関係も理由を知ったとしても
怖い話にしか思えん
一瞬を写された写真なんやけど
自分でも自分の顔が信じられんとよ
冷めた目付きをすると思いきや
上の写真が普段の私なんよ ？？？
フードを被っとるのは
ゴミ出しが寒すぎたからで意味はなし