漫画家 高坂ゆう香(KOUSAKA, yuuka)オフィシャルブログ☆ -6ページ目

漫画家 高坂ゆう香(KOUSAKA, yuuka)オフィシャルブログ☆

漫画家・イラストレーター高坂ゆう香の公式ブログです。
プロデビュー後、小学館で少女漫画を執筆。女性誌や女性週刊誌で体験漫画も体当たりで連載。ファッション誌web漫画イラストや企業の商品イラストも担当。著書「ワクワクだけで年商30億円」共著LICA(小学館)

←⭐︎前回からの続きです。

 

10年続けたラブコメ少女漫画家時代についに終わりの時が訪れます。

担当編集者が変わり、ある女性編集者が私の担当になりました。

打ち合わせブースで初めて会った時からどかっと足を組み、ネームを斜め読みし、髪をかきあげなが絶対に私と目を合わせようとしないその女性に

「あ、ついに合わない担当編集者に当たったな…」と直感で思いましたが、そのまま黙って座っていました。


商業誌の漫画家は担当編集者が選べません。

相性のいい方が担当になったときは、打ち合わせも楽しくまた、少しでもいいから自分のことを尊重し、良いところを認めてくれる方だと、よし❗️がんばろう‼️✨と

前向きになり、意欲的になったりします。 


しかし、全く逆もあるわけで。



明らかに私のことが好きではない気の強い担当者との打ち合わせに行くのが毎回辛く、

小学館にいく途中の地下鉄のエスカレーターで、涙が出て動悸が走るようになり

打ち合わせが終わると心底、ホッとして、死んだ抜け殻のようになっていました。

打ち合わせにいく間隔も次第に空いていき…。


「高坂さんはおっとりしすぎている!」

「他の漫画家さんはもっとガツガツ私に載せてくれ!と言ってすり寄って来るのに何でそんなのんびりしてるんだ!!」など打ち合わせの度、ネチネチとキツく言われましたが全てじっと黙って聞いていました。

歳を経た今でこそ、そういう気の強いタイプの人には「へぇ。」とか「えっ、あなた、大丈夫?何か辛い事でもあったの?ちょっとやばくない?」とか

面と向かって同じようなテンションで強気にいい返せますが、その時はもう下を向いてじっと黙ることしか出来なくて…


今はどうかわからないですが、当時、少女漫画雑誌の編集者と漫画家(大御所ではない人)は、明らかに編集者の方が強気に出ていたと思います。そして、私はひたすら、何を言われても黙っていることが最善策で、お互いのためだと思って我慢していましたが、今思えば、対、人間同士なんだし、仕事だとしても理不尽だと思えばその場でもっと直接言い返しても良かったなぁ、と思います。

黙っておどおどして下手に出る人に、気の強い人はどんどんマウントを取って上から目線になってくるので。そしてある日その女性の

「もっと自分の方向性を良く考えないと先はない」の一言で、ついに描けなくなり…


それでも必死に、なんとか1本編集部にネームを送った(当時はFAX)私に彼女は、今まで何をしていたんだ!と電話をかけてきたので、

あまり何も考えずその時は、正直に、

おどおどと小さく蚊の鳴くような声で

「あの…○○さんの、一言で描けなくなって…」と、

ありのまま素直に今の状況を正直に言った途端彼女が電話の向こうで豹変しました。

おそらく自分が責められたと思ったのでしょう。

私は、状況を聞かれそれに答えただけで、彼女を責めたりとか全然そんなつもりは全く、本当に全くなかったのですが、

彼女はもう手がつけられないくらい

烈火の如く怒り、ヒステリックに電話の向こうで喚き散らし、大声で怒鳴り散らす彼女に、私はもう、

ただ、ただフリーズするしかなくて…。


私は、本当に大声で感情的に怒鳴り散らす人が苦手で、

今でもテレビの国会議事堂の答弁なども見るのも聞くのも苦手で、

TVの中継やニュースなどで出てくるとすぐ消します。

今でも、彼女の怒鳴り声を思い出す度、涙が溢れてくる…。


そんな、だんまりの私に、彼女はもう、匙を投げたのでしょう。

ある条件を出しました。

「次の作品が愛読者アンケートで○番以内(←かなり上位)に入らなければもう作品を見ない。次の掲載まで一年の猶予をあげる。だから、もしだめだった時のために生活が困るだろうから、他の雑誌を今から探しておけ」

と、いうような内容でした。


今、思えば「どんだけ上から⁉︎」と思う内容ですが、当時はもうこの人に関わるだけで生気が吸い取られてるというか、ただこの人から逃れたく…

と、いうか編集長でもないのに、この編集者にそんな偉そうなことを言う権利はあるのか?

と、今なら疑問に思うのですが、当時はもうメンタルがやられていてもう従うしかなかった…。


そして、今思えばその時すぐにわけのわからない条件に従わずさっさとその人から離れていれば良かったのに、わたしはわざわざ、その人の言うことを素直に聞き、その一方的な条件をのんで人生の大切な一年という月日を費やして一作を描きあげます。


結果は…出された条件の、上位に食い込むこともなく、

その担当編集者は、勝ち誇ったように、

「残念ながら、今回あなたの作品は○位以内に入ることはできませんでした。ですのでもう、これで終わりです。

もう2度と私に電話してこないでください。


と、吐き捨てて、ブッと電話を切りました。


受話器を握りしめたまま、私は立ち尽くすしかなかった。


「もう、終わったんだ…」

と、思った。




続く。





↑ASAGIさんの豊洲ピットでの5月10日のイベント会場にて。