日本神経内分泌腫瘍研究会のガイドライン、7月11日付で改訂が出ています。

 

guideline_cq9.pdf (umin.jp)

 

NETTERー2試験の結果が早速日本のガイドラインに反映されたようです。膵・消化管神経内分泌腫瘍のG3およびKi67が10%以上のG2の患者にはルタテラが初回治療で推奨される、と明記されました。G1およびKi67が10%未満のG2の患者に対しては二次治療以降で「考慮してもよい」とされています。

 

なぜG1とKi値低めのG2はファーストラインじゃないのか?また「推奨」ではなく「考慮してもよい」なのか?という話ですが、今回の改定の根拠となったNETTER-2試験が直接にはKi67が高めの患者を対象としていたからでしょうね。つまり、(おそらくは医師たちはいろいろ考えていることがあるにしても)はっきりとしたデータがないので、G1等の患者に対しては自信をもってファーストラインでいこう!とまでは言えません、と。ただし「解説」では、腫瘍量が多かったり予後不良が見込まれる場合にはPRRTを初回治療でやることを考慮してもよい、と但し書きがあります。

 

ダメージも控えめで効果もあるのだから、ルラテラ一番目がほとんどの場合適切なのでは?とにかく最初にルタテラやらせろ!といいたくなるかもしれません(自分もわりとそう思っています)。が、「解説」でも指摘されている、そもそも供給量が十分でないので患者間で優先順位をつける必要があるという話はおくとしても、以下のような話は聞いたことがあります。

 

・ソマチュリンと比べればルタテラ(PRRT)は効果が大きいことがかなりはっきりしているが、勢いのある腫瘍の場合にはルタテラよりも化学療法がより効果的な場合がある。

※化学療法や分子標的薬とルタテラを比較した試験はまだ十分な試験結果が出ていない。

 

・治療の選択肢が比較的多い膵NETの場合はまだわかるとしても、現時点で治療の選択肢がより限られている原発のNETの場合、効果が期待できるルタテラを腫瘍が暴れた際の「切り札」として使わないでおくことという戦略もありえるのではないか。

 

 

この二つの意見は、自分が主治医以外の医師から聞いたものです。とりあえず頭にいれておきたい意見ではあります。ルタテラの5回目以降がどうなるのか、GEPNET以外の場合のPRRTの効果のほどはどうなのか、等も関係してくるのでしょうね。

 

いずれにせよ最初のプレスリリースから1年かからずガイドラインが改訂されるというのは、嬉しいことです。