悪女の深情け

「貴女みたいな女性がしている事を、悪女の深情けと言うのよ」

別れた妻子へカッコいいところを見せる為に恋人のカードを使い、その支払いを恋人にさせるなんて最低な男です。


母が全身怒りで震わせながら、机を叩いて、そう吐き捨てるように言い放った。いつも穏やかな母があんなに怒ったのを、私は未だかって見たことがない。


そう、事が再発したのは先週のこと。
先日のカード使い込み事件。
結局、私は手持ちの貴金属を売りさばき、足りない分を補填して何とか支払いを済ませたばかりだというのに、また彼が「3万ほど用立ててくれないか」と。

この一言が私をまた精神的に追い込んだ。

ある朝目覚めると部屋の中はぐちゃぐちゃになり、身体には無数の痣。


母が怒り心頭になるのも無理はないのかもしれない。