- 闇の子供たち (幻冬舎文庫)/梁 石日
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- 血と骨〈上〉 (幻冬舎文庫)/梁 石日
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- 血と骨〈下〉 (幻冬舎文庫)/梁 石日
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記念すべき第一書目は、梁石日の『闇の子供たち』。
タイを舞台に、社会の闇で行われている幼児売春、臓器売買。
治外法権の地で、マフィアが貧困を利用し幼児を売買、世界中の富裕層の欲を満たす。
しかしその裏には、警察や軍隊、政府の黙認、事実の隠蔽など、
権力者の思惑が絡み闇はさらなる深みを増す。
そしてその根元には、戦争、宗教、人種差別等、人々が過ごした歴史の積み重ねにある。
この拡大する闇に立ち向かう人々の光の見えない闘いを描いた作品である。
と、少々おおまかで、誤解する恐れのあるあらすじであるがお許しいただきたい。
在日韓国人である著者の『血と骨』を少々読んだことはあるが、途中であまりに
暗いのでやめてしまった。
今回の『闇の子供たち』が読めたのは、おそらく暗さの質の違いであると思う。
前者は人それぞれの内的な暗さが主題で(悲観的、自虐的)、後者は社会の外的な暗さであった。
個人的に、あまり内的な暗さに触れたくなかったので、そちらは機会のあるときに読もうと思っている。
しかしどちらも経験や現実をもとに書かれたものであり、人間の卑しさ、貪欲さなど目をそらしてしまいがち
な人間の影と、向き合うことを主張しているのである。
闇が深く、大きくなる根本の原因は、個の制限ない私利私欲に尽きると感じた。
全ての問題が、相手を本当に考えることによって解決する。
人間が「人の間」で生きているもので、もし全ての人間が平等で平和な生活を営むことを
目指すのであれば、権利は個人を中心にしてはならない。
個人を中心に権利を欲するなら、たとえそこに何らかの制限があったとしても
他の人が発する権利とぶつかるのは言うまでもない。
ましてその欲求が無制限であるならば、まさに混沌な「弱肉強食」の世界と化す。
貨幣社会において、その上位にいる政治家や上流階級の人々が私利私欲を目指す限り
その連鎖は下に向かい、その底辺が圧を受ける。
他人の幸せを実現することが全ての個の欲求であるならば、理想の世界になりうるのかもしれないが、
今まで築いてきた歴史、現在を見ればそれが遠ざかり続ける「夢」であることは明白だろう。