何の変わり映えもなくすぎて、本当にこの人は癌なのだろうかと疑問を抱くくらい


最近の口癖は


「どうせなくなるなら気を使う必要もないし、食う!!」


この約4年間、彼のこんなに食べる姿は初めて見た


休みの日は、手料理を久しぶりにした

メニューは毎回彼の好きなもの

量はもういらない!ってゆうくらい大量に

たとえ食べきれなくても、好きなものをおなかいっぱいにして欲しかった


あとは、二人でゴロゴロする時間を増やした


自分の寂しさを埋めるためでもあったし、二人でゴロゴロするときの彼は、普段のように気丈ではなくどことなく不安そうだったから


周りの空気を暗くしないようにか、明るく「切ればなおる、もうどうあがいてもしょうがない」

そんな彼に休憩をして欲しかった


二人の時ふと…

「一番つらいのはおまえだ」

そう言われた


たしかに辛い

どんなに心配しても、わたしは手術の待合室にはいることはできない

どんなに愛しても、そばで大丈夫と手をにぎることもできない


でも、それを分かってくれているだけで充分すぎるくらい幸せ者だと思う

自分のほうが辛いはずなのに…思いやりを口にしてくれるなんて…


それから

「大丈夫 俺には心残りがあるから」


家族よりも何よりもわたしを残すのは心残りだと…


本当にこの人に出会えてよかった


「あなたがこれから胃がなくなって痩せて、見かけがおじいちゃんになっても、ずっと愛してる

 ずっとそばにいるからね」

月曜日から検査入院を彼はしていた

見た目には若くて元気で人一倍声の大きい、とても還暦とは思えない彼が自ら検査入院を希望したのは先月の話


「半分はお前のためだよ」


入院前に言っていた言葉

きっともう半分は自分でもおかしいと感じていたに違いない

でもそれを口にすれば私が不安がるから言えなかったのかも…


最初の検査は大腸

全くもって異常はなかった むしろ綺麗な腸…(笑)


30%くらい安心


最終日 胃カメラ

胃の調子が悪かったのは出会ったころから

でも今回彼が1番気にしていたのは胃


「今日は家族はこない」


そう聞いていたから、朝から病院へ向かった

着くなり即効で喫煙所…本当にいたって元気そう

病室に戻ると看護師さんが、調度検査の順番が来たと…

終わるまで病室待機


30分くらいで戻ってきて、細胞を取ったと報告

先生が来るのが午後からだし夜は仕事だからいったん帰宅して仮眠をとることにした


午後1時すぎ 彼からの電話で起きた

「最悪の結果 胃癌だ でも取れば大丈夫らしい 

 19日から入院で20日に手術 とりあえず今から手術前の検査あるから

 今日はいったん退院して夜は出るから、その時また話す」


電話を切ったあとはパニック いろんな所に電話した

お姉さんからの泣きながらの電話も、今では内容はほとんど思い出せない


友達達から言われたことは様々だったけど皆一貫して言った言葉は

「彼は絶対大丈夫 でもあんたの方が心配」


たしかにそう…

彼もきっと自分の辛さより私を心配するだろう


だから決めた 泣くのは手術が終わってから もう泣かない


おかげで取り乱すことなく夜は2人で話ができた


スキルス性胃癌


今から戦うこの性質の悪い癌のおかげで思えたのは1つ


生きていてくれるだけでイイ