帰りの汽車に揺られて 外は夕暮れ時で
隣で知らない人が夢現 肩にもたれて
兵隊はもうない故郷を目指していて
あの町の高台がまだあるって信じていて
壊れた世界でもう何もないけど
崩れたビルの向こう 地平線が見えた
線路は決まった場所へ誘う為のものだが
乗客は目的もなく 窓を見て俯くばかり
もう逢えない憧れのあの人への手紙持って
あの娘は死んだ目で何処に向かっているというのか
忘れたあの丘の場所 面影もないだろう
そこからだったらきっと世界を見下ろせる
空虚な樹海を越えて 灰色の河川も越えて
何もない人を運んで汽車は終着駅へ行く
壊れた世界はもう無色に染まったが
夕焼けが全てを朱に彩って
崩れたビルの向こうから輝きが届いて
汽車から降りて見つけた大きな影法師
汽車は行く 迷子を乗せ 汽車は行く