そうなんです。なんだかみんな…どことなく、タガが外れてる。

様子がおかしいのは祐希さんだけじゃない。

みんながとことんうるさい。

そして騒ぐものを誰1人として止めるものがいない。

本当に馬鹿騒ぎだ。




メダルというこれまで努力してきたものがしっかりと形として残り、歴史に刻まれ評価された嬉しさ、達成感からか、大の大人の大半数が序盤からテンション崩壊してることが要因かもしれない。


とはいえ無礼講やらなんやら多少倫理感乱れるのは

飲み会の醍醐味だよ?とはよく聞く。

これもこれで楽しむのもきっと正解。

俺も初めて飲みの場という空気感を体験した時はただただ圧倒されてびっくりだったし、普段見ない真面目で熱い先輩達の姿が一変したプライベートな姿や怠けた一面を垣間見た時はどことなく嬉しい楽しい瞬間だった。

時に酔いの力を借りて普段ぶっちゃけられない内容や、個人個人が特別に抱いている思いなんかを語り合える時間って、これからの友好関係にもプラスに働いたり、新しい仲間の意外な一面を知れたりするわけだし、そういうの、俺としてはすごく大切だと思うし、何よりこういう雰囲気こそ逆に俺は大好きだけど。


ただ、そうだとしても、ここまで乱れるか?という具合にまで、乱れているからちょっとした心配くらいはしてる。


どのくらい乱れているのか?



えー、と、



ここで、先ほどのカップル(?)の話に再度聞き耳を立ててみよう。






「マサ、最近寝れてる?また痩せた?飯食ってる?」

「ん、食べてるって…くすぐったい」

「だってほっぺたの肉少なくなってない?もっとつまめたのに…」

「つまめないってことは体が縛られたってことかな」

「んーん、もっと食べていい!肉つけないと」

「食べてるけど、全然身になんねぇんだよ…」

「可愛い…」

「何がどうしたらその返しがくるんだよ」

「ほんと可愛い…そもそもなんでいちいちそんな綺麗なの?エロいんだよ」

「いきなり何の話だよ」

「グラベアのプロフ、あれやばい…なんであんなの撮らせたの?って…まじキレそうなレベル…」

「会話しよ?まず俺と言葉のキャッチボールしてくれよ」

「や、だって、あんなマサ誰にも見られたくない…俺だってそうそう見れないのにさぁ…なんだよ誰だよここまで綺麗に撮れるやつ…」

「それお前に言われたくねぇよ…」

「え?」

「お、お前は、なんか普通に…全部やばいだろ」

「やばい?って?」

「だから、ビジュアル!何だよアレ見たことねぇよ//」

「な、え?♡どれ?どれの話??」

「…//」



キャッキャキャッキャと顔をニコニコさせながら話してる2人はだんだんとボディータッチもハードになりながらまたもや2人の世界。

かっこいいと言われるウキウキとはしゃぐ祐希さんと、見たことないほど祐希さんにベタ惚れ全開のマサさんの姿。

もー俺の尊敬する2人の先輩がクソほどに戯れてるんです、終始!!


そして、誰1人としてこの2人に構う様子もなくそれぞれが楽しんでいる現状。


この空気感がまずは驚きだし、それ以上に周りが本当にやかましい。

そして、ほんっとうに誰1人止める人がいない。

こういう時絶対止めるマサさんだって完全に祐希さんに触られてクソ程に嬉しそうだし、俺の視線にも全く気づかない様子。


これこそthe無法地帯。


俺だって祐希さんともそうだけど、マサさんとも3人で話したいなぁって思っとったし、なんならこの隣にいる若手の高橋やら大塚やらとも酒を交えて一度根掘り葉掘りプライベート関係の話をガッツリと話したい!とかもあるけど…

やめとこう。普通に殴られそう。



まぁまぁ、ウキウキドキドキしながら今年はなにが繰り広げられるんだろうという密やかな楽しみを抱えてグラスに口をつけて酒を飲むと藍から話しかけられる。



「有志さん、俺ら迷惑かけないようにするんで…」

「えー?いいよそんな!畏まらずまずは一杯と限らずどんどんごくっと行こうよ!」

「いいんスか」

「いいよ、君ら一杯二杯ならなにも変わったりしないの知っとるし!むしろ今日は変われ?」

「「じゃあ…いただきまーす」」


大塚と高橋ひ見合わせてニコッとしながら同時にコップのビールを2人で飲み干し、あぁ〜と喜びの声が一気に出てくる。


俺もまずは一杯、、無事に飲み干す。




あぁ…めちゃくちゃ冷えてクソ美味しい!!





「なんかいつも一緒にいるはずのメンバーなのに、この空間すっごい圧感じる…なんでだろ」



大塚がさりげなく感じた空気感に疑問を抱き俺に質問してきた。

すごい察する力をお持ちで!



「お?感じる??君ら初めてやろ?この会」

「初めてかもッスね」

「めちゃくちゃおもろい時間なんよ、そしてその雰囲気がえぐいほど好きなんよね俺」

「えー、なにがあるんだろ…ね?」

「うん。楽しみにしながら様子さぐりますね!あ、有志さん、ビール入れます!!」

「サンキュー!!!」



大塚に早速ビールを注いでもらい、勢いよくグラスを次々と空にして行く。


うん、おいし!


5杯目を飲んだ辺りからほろ酔いで、大塚が最近のドラマのおすすめの話やら、少しだけカラオケデビューしただの他愛もない話をしている中、高橋は徐々に頬を赤らめ大塚の話を眠そうな瞼でコクコク頷きながら聴き始めた。




「推しの子、シリーズ2まだ始まんないのかなーとかずっと言ってんすよね、藍」

「…だ、て、祐希さんも言うてるし…見てて、ハマって楽しいなーってぇ」

「お?」

「おお?」

「…なんスか」



これ知ってる。知ってる!!

酔っ払って人間の話し方だ!!笑



ははは…



ははははははは!!




きたきたきたーーー!!





俺は一昔前の自分の姿を思い出し今横で縦に首を振り続けている高橋に20歳になり酒を解禁した頃の自分の姿と重ねてみる。



「今ふわっふわやろ?」

「そ、スね…なんでやろ、そんな飲んでないのに…」

「場の雰囲気もあるから飲まれたんじゃない?」

「あー、こんなうるさい中飲んでるからか…」



ガヤガヤとしている部屋には酔っ払い多数。

みんなの前でお互いに好き好き光線出して見つめあってるカップルと、山内君と健太郎組んでに至ってはシャツなんか脱いで押し相撲とかし出してるし、それみて爆笑している太志さんは顔が既に茹でたタコみたいに真っ赤だし。

何より今も元気に俺の後ろで福澤さんと清水さんが演歌を歌いながら小川君と山本君がレシーブのフォームでどじょうすくいしてる。



そんな中、徐々に酒に飲まれて行く若手エースのキャラ変はいかほどなものか?とwktkしながら話に付き合う。



「有志さん、今日は有志君って呼んでもいっすかね?」

「おーぜんっぜんいいよカモン!」

「違和感しかない」

「たっちゃん正常だよそれ」


次第に大塚にもエンジンがかかると3人で一気に声も高くなる。


楽しくてしょうがない。

今、この瞬間が!




前回の醜態晒さんように…と意気込んでいた気持ちがここにきて揺れ動く。




まぁいいや!今日はお祝いなんだ。

今飲まないでいつ飲む?

そんな感情にさせられるともう止まらなかった。


今日はとことん話したい!祝いたい!みんなでわちゃわちゃしたい!!俺だって…俺だって…!タガが外して行くよ!


どんどん俺の中でボルテージが上がる。



「浴びるほど飲んでやるよ!!!」




ほんとルネッサンスだよ…

なんだよみんな大好きだよ!!!


昂る心のままグラスに口をつけ、数杯目の祝杯を一気に喉の奥へと流し込み、数年前に違った『飲み過ぎた代償』の誓いを忘れ、自分もいざお楽しみの空間へ…