嬉しい






嬉しい!







「祐希、流石に痛い」

「ぁ、ごめん!力入っちゃった」



慌てて握る力を緩める俺。

嬉しいあまりに力加減できてませんでした。はちょっとカッコ悪いよな?とか恥ずかしく思ったけど、

力加減よりも何よりも、今マサさんのずっと聞きたかった本心なる言葉に俺の頭は所謂パニックを起こしている状態だ。


更にマサさんから、続いて放たれたのは俺が気に掛かっていたことで…




「言えない。こんなこと…さらっと言えるなんてこと、お前には」

「なんで」

「西田にでも聞けよ。同じ答えが返ってくる」



西田。と聞いて一瞬モヤっとするが、今はそんな話をし始める場合じゃない。

要するに、西田には話せて

俺には話せなかった理由は…

ここまでの話の流れで察した。




「俺、そんなやわじゃないよ」

「…」

「マサが好きだって言ってくれたら、すっげえ嬉しい。変わらない。困るなんて返すと思う?」

「…そこは、俺はお前じゃねぇから」

「だけど、少なくとも色々考えすぎて言いたいことも我慢して自己犠牲払って結果ぶっ倒れる程悩んだりしないだけだけど?」

「…なんかムカつくんだけど」

「ふふ、でもそうでしょ?見える?まだ俺が頼りなく見えたならそれこそ申し訳ない話だよ…強くなりに行ってるのに…」

「…んふ、そうだな。まぁ、結果こんな風に倒れてみんなに迷惑になるんだったら、耐える意味なんて、なかったよな」

「…」

「お前を、俺から守りたかっただけ…お前が思うほどに俺、愛が重すぎるんだわ…だから、言えねぇよ」





どこか張り詰めていた眼差しは消えて、硬い鎧を外したありのままの先輩は、ふわっとした雰囲気を醸し出しながら俺の前に徐々に現れてくる。



愛が重いとか…、すげえ甘いじゃん。 

軽く飛べそう。

どうしよう!可愛い。

なんてキュンキュンにやられている自分を見せることなく脳内に止めて冷静に務める。


「だからこそ俺も海外に行ってマサが安心しきれる程強くなって帰ってきたかったんだよ。だから、まぁ、かかってこい!って感じ」




手のひらをマサさんに向けて、パンチを待つ姿勢をする。


少し潤んだ瞳が俺の手のひらを見つめて、内心驚くような表情をしたあと、目が合った。



透き通る瞳の曇りの無い透明度。

綺麗だ。綺麗。



「…だめだ、お前がでかくなればなるほど、言えなくなる」




構えた俺の手のひらにパチン。と、弱くもなく強くもないパンチが飛んできた。



「…聞かせて、いいから」



飛んできたパンチをグッと包み、引き寄せる。