朝早く地方出張から戻る途中、運悪く
都内の満員電車に乗りあわせてしまった。
『ドアが閉まります、ご注意下さい』
プシューーっ
ご注意をして乗ったはずが、運悪く 私の目の前には こちらを向くおっちゃんがいた。
長いものには巻かれろ…というコトワザのように、通常はみんなドアの方を向くはずなのに、なぜか私の目の前のおっちゃんだけは、こちらを向いている。
混み合う車内における私とおっちゃんの唇の距離は、目測10~15センチメートル。
腹から腹を伝い、おっちゃんの呼吸が感じられる。
そして吹き出す鼻息が 私の首すじを優しく刺激する。
車内の揺れの大きさによっては、ひょっとすればひょっとする事態が起こり得る可能性はすでに98%を超えていた。
そしてその電車は
予想を裏切ることをしなかった。
ガタッ!
(;゜0゜)うおっ
ドン!!
間一髪、唇と唇が触れ合う前に、おっちゃんの後ろのドアを押さえつけた。
ガタン ゴトン
ガタン ゴドン