イヴの日、休み取るんだ?
知らなかった

一緒に過ごす

誰かがいるんだね…

羨ましいな

ううん、あなたじゃなくて
一緒に過ごせる人が…



そんなふうに

問いただせるような

関係でもないし

尋ねる勇気もないんだけど


あなたのいないときに

知れて良かった



捨てられたような目で

あなたを見つめなくてすむから



昨日の紙包み

プレゼントだったの?

小走りに戻ってきたあなた
誰にも気付かれないように?


いつだってあなたを見てるから


ちゃんと知ってたよ

私じゃダメなんだよね…



泣き出しそうな帰り道に

見上げた空は

月すら顔を見せてくれなくて

厚い雲の裏側で

鈍い光を放っている

お前は敗けたんだって

言われてるみたい…



何も言えないくせに

いつのまにか

あなたの笑顔に

夢を見ていた


何も言わないから

気付けばきっと

1人のフィールドを

走っていたのかもね

見えないゴール目指してって
そんなカッコイイもんじゃない

間違えて

多く走ってしまった

不運なランナー


そんな結果なら

雨が降ってくれたなら

走らなくてすんだのに…





雨が降ったら…

明日は唄いながら



♪傘がないなんて よくあること
ずぶ濡れになって歩いた
クリスマス・イヴ
誰のせいにもできないじゃない♪


YUIが唄ってくれるから

泣かないで

夜を越えられる





夢の中で

出逢えないあの人が

頭をなでてくれたら

何も怖くないんだけど



いつも…

かなわない夢ばかり





金木犀の香りは

無条件に私を幸福にする

見上げた空は

今にも雨が降り出しそうな
灰色で

あなたの笑顔も映らない


私は道端に散りばめられた
橙色の花弁をつまみあげて
指先で泥を払った

ひとつ、ふたつ、みっつ

手の平に小さな花が咲いた


こんなふうに

あなたが私を

拾い上げてくれたらいいのに…

カガミクリスタルのグラスに

花弁を浮かべてみたら

ほんの少しだけ

香りが

残っているような気がした


幸福にすがりつこうとした
私の嗅覚が

一瞬だけ

幻の香りを捉えたようだ



触れられないあなたの頬に
伸ばせない右手を

わずかに持て余し

私は

自分の左手を

握らせてやった



香りを失った金木犀は

小さく咲いているように見えて

虚ろな表情を浮かべている


明日

また

新しく咲いて

誰かを幸福にしたいよ

祈るように呟いた

今夜の

独り言

心を救ってくれるような

とっておきの一冊を探して
本屋を訪れ

見つからないまま

店を出た



夕暮れの空に

白かったはずの雲が

オレンジ色に染まっていた


綺麗だねって言いたい人は
隣にいない

空っぽの右手を

少しだけ握ってみたら

あなたの手のぬくもりを

思い出したよ



そばにいられるときが

もしも永遠だったなら

夕焼けが綺麗ねって言ったって

こないだも見たよって

しかめっ面で適当な返事

そんな会話でも

そばにいたいんだろうね



あなたは今ごろ

あの子と手をつないで

花火を見ている



私は仕方なく

空っぽの両手で

自分を抱きしめて

花火の音が聞こえないように

部屋に音楽をかけている



目をつぶっても

あなたの顔が

チカチカして

切れかけた蛍光灯みたいに
闇と光が交差する





もう終わりにしようか?

弱々しい心に

新たな思いが浮上した



夏が終わろうとしている