撫順の春、三月はまだ雪が残っていたように思う。歩道は下にスチームが通っているので雪はないが、車道にはなごり雪が汚れてのこっていた。
今年は、引き揚げ以来、始めてだが、撫順に帰ってみようかと、当時の同級生達と計画している。当時の面影は何も残っていないと、何回か訪れている友人から話を聞いているものの、生きている間に、幼年期を過した異国を訪れるのも、何かあるかも知れない。
故郷とは、長く住みなじんだ場所、または懐かしく思い出される住んだ所、幼年期を過した場所、少年期を過ごした場所、青春を過ごした場所、指折り数えてみると、生まれてから二十数回も住まいは変わっていた。
旅先で、一ヶ月・二ヶ月と住んだ所を入れると数え切れない。私の故郷はどこなのだろう。