骨折物語

骨折物語

骨折。
それは痛い。
骨なんて丈夫そうで結構もろい?
危険はどこにだって隠れています。
骨折からの復帰までの物語です。

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私があんまりにも痛がっているんで、先生も当初は妻をメインに話を進めていこうとしているみたいでした。

が。

診察結果を聞いて妻が泣いてしまっているので、今度は私をメインに話を進めていくみたいです。

私、めっちゃ痛いんですけど。

そん時妻はというと、看護婦さんたちになだめられながら椅子に座っておりました。

 

先生 「それでですね、これからの話なんですが。」

 私 「はい。」

先生 「私は外科が専門なんで、詳しくは整形外科の先生に診てもらいたいんですが、まずスネの骨折の方はですね、これだけ骨と骨の間が開いてしまっていると手術が必要と思われます。」

 私 「手術ですか。」

 

今まで何度も骨折してきましたけど、手術まで必要になる骨折はなかったんですよね。

ギブスで固定して、1ヶ月もほっときゃ治る。

骨折なんてそんなもんだと思ってました。

それが階段から落ちて手術。

まぁホントに、つくづく情けない話ですね。

 

先生は更に話を続けます。

 

先生 「それより問題なのは足首の方ですね。こちらも手術は必要だと思うんですが・・・。」

 私 「結構ひどいんですか?」

先生 「ん~。かなりなもんだと思います。」

 

おいおいおい。

あんまり脅かさんといてよ~。

手術と聞いて、ただでさえビビっているのに、ひどいなんて言われたらですよ、しこたまビビっちゃうじゃないですか。

更に話を聞いていくと、入院期間も2週間から1ヶ月くらいになるのではないかという話でした。

 

ん~。

結構長い入院期間だねぇ。

ここは自宅からかなり遠いし。

何かと大変になりそうかも。

 

そんな話をしていたら、近くの病院が救急で受け入れてくれるらしく、そちらに救急車で移動することになりました。

 

しかしです、これがまた救急車が来るのが遅いんですわ。

なかなかきません。

もうね、痛み止めの座薬を入れてもらっても、ちっとも効かないんです。

いや、効いているのかもしれませんが、痛いもんは痛いんです。

看護婦さんたちが、遅すぎるんじゃ?とマジで心配する頃になって、ようやく救急車が到着しました。

もう、遅いって~。

 

しかし、救急車というのは、あんまり乗り心地のいいもんじゃないですね。

そりゃ、ベースがハイエースのバンじゃ、仕方ないかもしれませんけど。

今じゃもっと乗用車ライクな救急車もあるみたいですが、私を迎えにきてくれたのは、どっから見てもハイエース。

いつも見慣れた…っていうか、乗りなれたハイエースの救急車でした。

 

走っている間、なにかっちゅうと揺れまくる救急車。

痛い。

痛いんですって。

そんなこっちの願いなど、完全無視です。

更に、これでもかと衝撃を与えてくれます。

 

すいません。

ギブです。

 

ホントにもう、痛くて痛くて。

うめきながらチラっと救急車に乗ってきた隊員の人を見たら…。

 

目が合わないように下向いてやんの。

なんでやねん。

もっとこう、痛がってる怪我人を励ますとかさ、なんかやることがあるでしょう。

いやね、別にコントやって笑いを取って痛みを忘れさせて欲しいとか、そういうコトを言ってるワケじゃなくてね。

ただ「頑張ってくださいね。」とか、何か言葉をかけてもらうだけでも、ずいぶんと違うんじゃないかと思うんですけど。

どーっすか?

 

なんて聞く余裕は、これっぽちもありませんけどね。

そんなこんなで、半泣き状態になりながらのた打ち回っている間に、これからお世話になる病院に到着しました。

さすがに草木も眠ると言われている時間帯。

深夜救急外来当直といっても患者は私だけでした。

ラッキー♪

もし、これで待たされたら

「おいおい、ふざけんじゃないよ。こちとら怪我人だよ。痛いんだよ。我慢できないんだよ。それをこんな扱いしたら暴れちゃうよ。」

などとのたまいつつ大暴れしたのち、

「ごめんなさい。改心しました。お願いですから早く治療して下さい。」

と泣きつかなくてはならないトコロでしたから。

 

早速診察室に通され、ベッドに横になります。

もうこれだけのことが、苦痛でたまりません。

そうこうしているうちに先生がやって来ました。

そして私の足を見るなり

 

先生 「ん~。ちょっとひどいですね。とりあえずレントゲン撮りましょうか。」

 

と言って、私はまたしても移動することになりました。

しかしベッドに横になるだけでも苦痛だったのに、また起き上がって移動して、更にまた横になってなんちゅう作業は出来そうもないです。

さすがに看護婦さんたちも移動は難しいと思ったのか、ベッドごとレントゲン室に移動することになりました。

助かった~。

しかし、レントゲンを撮るために足の向きを変えることだけは、やらなくてはならないんですよね。

 

先生 「もうちょっと足をこっちに向けてくれませんか?」

 私 「ん~。限界です。」

先生 「もうちょっと頑張って。」

 私 「だからもう限界ですって~。」

 

そんなやりとりを繰り返しながら、必死こいてレントゲン撮影は終了しました。

なんちゅうか、今までこんなに苦労してレントゲン撮影したことはなかったぞ。

苦労した分いい写真が取れるんならいいですけど、所詮はレントゲン。

どう頑張ったって骨しか写りゃしないんですよね。

どうせならもっとこう、楽に撮影できるヤツはないもんですかね?

 

やがて処置室に、出来上がった写真をもって先生がやって来ました。

そして妻が処置室に呼ばれした。

いよいよ症状がはっきりします。

 

先生 「えっと。まずですね、足首なんですけど、脱臼してますね。」

 妻 「はい。」

先生 「それとくるぶしのところですが、数箇所骨折してます。」

 妻 「はい。」

先生 「それとここの、スネの部分も骨折してますね。」

 妻 「はい。」

 

素人の私が見ても骨折と診断ができるほどに、見事なまでにポッキリ折れているのが分かります。

ここまで見事に折れていると、かえって気持ちがいいくらいですね。

いや、めっちゃ痛いんですけどね。

 

階段で転んで骨折か。情けない話だな。ここまでポッキリやってると、復帰は夏くらいか。あ~ぁ、今日のエントリー代、無駄になっちゃったなぁ。

 

痛いことは痛いんですけど、先生の診断を意外なほど冷静に聞くことができました。

ふと横を見ると、妻は泣いていました。

子供の頃から骨折慣れ?している私でもここまで見事なレントゲンは見たことがないですからね。

妻には相当ショックなシロモノなんでしょうね。

 

「奥さん、大丈夫ですよ。ちゃんと治りますからね。しっかりして下さいね。」

 

看護婦さんたちの励ましの声にうなづく事しかできずに泣いている妻。

 

「ごめんな、ごめんな。」

 

私は、ただ謝ることしか出来ませんでした。

しばらくすると、足に痛みが出てきました。

 

痛い。

かなり痛い。

っていうかものすげぇ痛い。

 

これくらいの痛さならちょっとテーピングして冷やしておけば何とか走れるかな。

 

なんて甘い考えはすっ飛んでしまうくらいに痛いです。

 

レースに行くより、今この状況からどうやって家に帰るか。

 

もうね、それを考えるのが精一杯。

幸いにも携帯を持っていたので、痛みをこらえながら妻に電話をかけてみました。

 

私 「もしもし。」

妻 「どうした?」

私 「階段で落ちた。」

妻 「大丈夫?」

私 「動けないんだけど。」

妻 「すぐ行くから!」

 

短い言葉のやり取りでしたけど、私の怪我の状況が普通じゃないのは、感じてくれたみたいです。

 

何とか妻の力を借りて、とりあえず家に戻ろう。

ここじゃ怪我の状態もよく分からない。

 

しばらくして、妻がやって来ました。

力なく倒れている私の姿を見て、頭を打ったと思ってるみたいです。

慌てて階段を駆け下りてくる妻。

万が一を考えて、頭を動かさないように、足に近い方へと…。

 

そこでっ!

慌てて駆け下たんで、バランスを崩す妻!

妻の蹴りが、私の足にジャストミート!!

 

私 「◎△◆×!?※」

妻 「あっ! ごめん!」

 

妻よ、痛いのは足なんですけど。

 

ここで妻の蹴りを受けるのは予想外でした。

しかし、声にならないほど痛いなんて、最近では味わったことがありません。

こりゃどうも相当酷くやってしまったみたい。

大丈夫か?私。

 

妻に抱えられるようにして、何とか自宅まで辿り着きました。

明るい部屋で足を見てみると…。

そこには象さんの足がありました。

 

骨折は何度も経験しているけど、こんなに腫れたっけ?

足も何かぷらんぷらんなような気がする。

 

まずい。

こりゃ、ホントにまずい。

痛みも普通じゃないし。

 

妻に深夜救急外来当直の病院に連絡をとってもらい、車を走らせてもらいました。

 

抱えられながら階段を下りているとき。

車に揺られているとき。

ちょっとした衝撃が足にひびくんですよ。

いくら妻が慎重に運転してくれていても、痛いったりゃありゃしない。

 

必死に痛みをこらえて、やっとの思いで病院まで辿り着くことができました。

 

あぁ、これで楽になれる。

 

そう思うと、少しずつ気持ちが落ち着いていきました。

1月27日。

今年も中部選手権が開幕します。

昨年は最後にちょこっとだけ走った MFJ のレース。

全くついていけないかという予想に反して、何とか予選も通ることが出来ました。

ギリギリだけど。

今年はコンスタントに予選を通過することを目標にしてここまで練習してきました。

その成果が試されるときがついにやってきんです。


どきどき。

 

天気予報は雨。開幕戦が行われる榊原をマディなコンディションで走ったことはありません。

しかし土質を見れば、マディは相当な修羅場になるのが簡単に想像がつきます。

しかしですよ。

それは皆同じなんですよ。

普段なら苦手なマディで気が重くなるトコロなんですけど、開幕戦というハイテンションがそれを打ち消してくれている…。

そんな感じなんです。

 

 

夜中。

会場が遠いこともあって、いつものレースより早い時間から準備に入ります。

睡眠もバッチリ。

体調もバッチリ。

いよいよ開幕戦です。

 

外に出てみると、どえらい雨が降ってます。

 

こりゃマディっていうより、泥の海になってるかもしれないな。

 

そう覚悟を決めて、荷物を自宅のアパートから駐車場に下ろし始めました。

 

 

我が家はアパートの5階なんです。

普通はエレベーターのひとつもありそうなモンなんですけど、古い建物にはそんな立派なものはついていません。

普段はなんとも思わないんですけど、こういう荷物の多いときはさすがに気になります。

何度も往復するのはめっちゃ大変。

汗だーだーもんですよ。

 

残ってる荷物の量からして、あと2往復くらいしたら全部運べるかなぁ。

いや、何とか持って下りれない量じゃないかも。

 

私は残り全ての荷物を抱えて雨に濡れる階段を下り始めたワケです。

めいっぱい荷物をかかえて、バランスを取りながら下りていく階段。

さすがに足元は見えやしません。

使い慣れた階段とはいえ、一段一段慎重に、そりゃもう慎重に下りていきました。

強風に流されて顔に当たる雨粒。

ふと横を見てみます。

見えるのは街の明かり。

星は見えません。

 

まだまだ雨は止みそうにもないし…。

大変なレースになりそうだなぁ。

 

そう思った瞬間。

目の前の景色が消えました。

 

 

そういや、妻が妊娠していたときだったけ。

階段を踏み外して転んだんだよなぁ。

幸い妻にもお腹の中の長男も無事だったんだけど。

その後も買い物荷物を持った妻が足を捻挫したことがあったっけ。

他にも結構この階段で怪我してる人がいるんだよなぁ。

大体この階段は滑り止めはついてないし、手すりもないし。

その上一段一段の幅も狭いし、何より急なんだよ。

ホント、誰かが大怪我する前に大家さんに言っといたほうがいいんじゃない?

 

 

階段の踊り場にうずくまり、いつか妻と話していた事を思い出してました。