子どもの心は、真っ白な画用紙のようなもの。


いろんな経験を重ね、


徐々に、その純白な紙に色をつけていく。



ある女性が、その意義について話してくれた。


子どもの心は「疑似体験」をしながら育つ、という。


実際に直面しなくても、見聞きする行為を通じて、


本当に体験したかのように経験を積むことをいう。


感情を込めて絵本を読む親の言葉が豊かな心を育て、


「悲しいとは何か?」「うれしいとは何か?」


などの価値判断を身に付けていく。


早稲田大学の加藤諦三名誉教授が警鐘を鳴らしていた。


「笑顔で子どもをお風呂に入れながら『気持ちいいね』と


話しかけてくる母親と、黙ってお風呂に入れている母親とでは、


子どもの心の成長は違ってくる」


「ふだん使っている言葉の意味を五感とともに教えるのが


心の教育である」と。


子育てといい、教育といい、まずは「育てる側」が、


心を尽くして関わることから出発する。

「パソコン周辺の乱雑なものを片付けたら気分がスッキリした」


「焦げ付いた鍋を磨いたらイライラが治まった」


こうした経験は、脳生理学的に見て理にかなっているそうだ。



東邦大学医学部の有田秀穂教授は、


「一定のリズムを伴う運動は、脳内のセロトニン神経という


神経細胞を活性化させる。


この神経は、セロトニンという物質を分泌し、


イライラや落ち込みを静める作用がある」と言う。


一定のリズム運動を五分間続けると、セロトニンが活性化される。


掃除の中心的な作業の「拭く」「履く」「磨く」という動作は、


適度なリズム運動なのだ。


また、掃除をすると「綺麗になった」という達成感を味わえる点は、


心身に好影響を与える。


掃除は、まさに魔法の活動ともいえる。


部屋の状態は、その人の心を映し出す鏡のようなもの。


気になる汚れを一つ一つ片付けることが自身につながり、


心の状態を安定させてくれるのだ。


まずは、一箇所をピカピカに磨くことから始めてみよう。



長寿の教育学者として知られ、


今も現役で活躍する昇地三郎さんは御年103歳。


その健康法は、毎日の習慣にあるという。



三歳の時、母親に教えられた習慣が「食事を一口三十回かむこと」だった。


消化不良や食べ過ぎを未然に防ぎ、現在まで一貫して習慣化しているそうだ。


その他に、「棒を使った5分間の体操」や背筋を曲げないために「硬いマットで寝る」、


さらに「寒水摩擦」や「新聞を四紙見る」などを挙げている。


「健康法に王道はない。体に良い平凡な生活習慣を、コツコツ続けること」と語る。


国内のみならず世界各地で精力的な講演活動を続けている。


その体力の元が、日々の習慣の蓄積にあるのだ。


私たちも改めて、自分の健康法について考えてみたい。


自分に合った健康法を選んだならば、継続してやって見ることが何より大切。


一週間程度で終わってしまっては「自分はダメだ」と、


むしろ心の不健康につながる。


コツコツと地道に続けることが、心と体の健康に通ずると、心したいものだ。