加賀屋女将・人づくりの知恵袋
現場こそ宝の山
人材育成でまず強調されるのは「現場に出ることの大切さ」。加賀屋の女将・小田真弓さんは、自ら玄関に立ち、日々廊下を歩きながら問題点を即座に改善。現場の空気に触れてこそ見えることがある、と語る。
ほめ言葉には笑顔と「ありがとう」
最も基本的な心がけは、相手の良い点を見つけて感謝の言葉をかけること。上からの「ご苦労さん」ではなく、同じ目線で「ありがとう」を伝える姿勢が大切。
注意の仕方は言葉選びから
叱る際にはまず相手の言い分を聞き、そのうえで良い面に触れながらやんわり伝える。「あんたダメよ」は逆効果、というのが現代の若者との付き合い方。
毎朝の挨拶は体調チェックのチャンス
社員とのコミュニケーションは「おはよう」の一声から。顔色や仕草から異変を察知し、時には「風邪?」「疲れてる?」と声を掛ける。
外の風にあたらせてみる
社外の研修や講演会への参加を促し、日常の空気から離れてリフレッシュする機会を定期的に設けている。
不器用な人ほど可愛がる
器用な人は放っておいても伸びる。不器用なタイプこそ手厚く見守り、潜在力を引き出すように心がける。
社内アカデミーで和の知識を
加賀屋では、茶道や華道など和の教養を身につけられる学びの場を設置。接客に活かせる教養も育成対象。
クレーム予防には「ひと言注意」
余計な一言や流れ優先の接客がクレームの原因になることが多い。「その人に合わせる」を大原則に指導している。
知識武装でお客様に備える
客室係は、料理・地域の歴史・工芸など幅広い知識を持つ必要がある。女将自ら熱心にレクチャーする。
配置換えは柔軟に
人間関係に悩みがある社員同士には、早めに部署を変えて、無理なく働ける環境づくりを心がけている。
最終的な責任は女将が背負う
社員が自由に判断して行動できるよう、「最終責任は私がとる」と伝える。創意工夫を尊重する風土づくりが鍵。
こぼれ話
●加賀屋では、接客以外にも掃除や細部の飾り付けまで社員が担当する。「職人力」が育つため、他の旅館からスタッフが研修に来ることもあるそう。
●女将がたまに実施する「早朝ウォーク点検」は、社員の出勤前に玄関や廊下の香りや照明をチェック。小さな美意識へのこだわりが、お客様の満足度に直結しているとのこと。
●セブンイレブンのお節料理は三種類あって、毎年加賀屋旅館のものが真っ先に売り切れます。美味しいからです。
👘 “お客様にノーと言わない”という哲学
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加賀屋では「できません」と言わないのが基本方針。
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たとえば、旅館にないお酒を求められたら、スタッフが外に買いに出ることもある。
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これは創業者の「お客様との真剣勝負」という信念から受け継がれているもの
ちょっと おしゃべり
仕事場での挨拶ひとつで、空気が一変することってありますよね。冷たい沈黙が少しの笑顔でほぐれる瞬間、なんとも言えず心地よいものです。
それにしても最近は、「ありがとう」の言い方にも個性が出ますよね。語尾が伸びる人、早口で言っちゃう人、間にためがある人…微妙な違いが妙に印象に残ります。
●他の偉人達の名言も読みたい?
加賀屋といえば、石川県の和倉温泉にある、日本屈指の老舗旅館ですね!明治39年創業のこの旅館は、「プロが選ぶ日本のホテル・旅館100選」で何度も1位に選ばれるなど、そのおもてなしで全国的に有名です。
●プロが選ぶ、伸びる銘柄10選