🧭ドラッカーの人生から導かれた7金言
上田惇生(元・ものつくり大学教授、ドラッカー学会代表、ドラッカー入門著者)は、経営学の巨人ピーター・F・ドラッカーが人生で得た7つの精神的節目を紹介しています。それぞれの教訓は、ドラッカーの実体験や読書から生まれたもので、現代の働き方や生き方にも深く通じるものです。
🎯教訓一覧:ドラッカーの哲学
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目標と未来像を描いて行動する
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常に全力を尽くす(神々が見ていると意識する)
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一度に一つのことに集中する
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定期的に振り返り、計画を立てる
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新しい仕事に必要なことを見極める
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成果を記録し、結果を振り返る
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自分が「何によって記憶されたいか」を考える
🎼こだわりの第一歩:オペラから学んだ挑戦心
若き日のドラッカーが感銘を受けたのは、80歳を過ぎた作曲家ヴェルディのオペラ。 「満足できないから、もう一度挑戦する必要があった」という言葉に、彼は衝撃を受けます。 この経験から「目標とビジョンを持って生きる」ことの大切さを学び、習慣化しました。
🗿神々の視線:見えぬ部分にも魂を込める
次に彼が読んだのは、ギリシャの彫刻家フェイディアスの逸話。 パンテオンの屋根に設置された彫刻の背面にまで手を抜かず、「神々は見ている」と語ったフェイディアスの姿勢に、ドラッカーは「誰にも見えなくても完璧を目指す」精神を刻みます。
📜こぼれ話①:ドラッカーと図書館の関係
ドラッカーは若い頃、ハンブルク市立図書館の蔵書をほぼ読破したと言われるほどの読書家でした。 彼の著書には200人以上の思想家の言葉が引用されており、読書が思想形成の土台となっていたのです。
📜こぼれ話②:シュンペーターとの会話
ドラッカーが40代の頃、父と経済学者シュンペーターの会話を耳にします。 「何によって知られたいか?」という問いに、シュンペーターは「優秀な学生を育てた教師として記憶されたい」と答えました。 この言葉が、ドラッカーの第7の教訓「記憶される価値とは何か」に繋がります。
🎼 80歳のヴェルディから“挑戦し続ける精神”を学ぶ
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ドラッカーが若い頃に聴いたオペラ『ファルスタッフ』は、80歳のヴェルディが作曲したもの。
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「最高傑作は次の作品だ」と語るヴェルディの姿勢に衝撃を受け、「目標とビジョンを持ち続けること」の大切さを悟った
☕ちょっと おしゃべり:ビジネス書の意外な読者層
最近では、ドラッカーの『マネジメント』が高校生や大学生にも読まれています。 特に『もしドラ』のヒット以降、経営学が青春小説のテーマになるなど、ビジネス書の読者層が広がっているのは面白い現象ですね。月刊致知、おすすめです。経営者向きで、書店では売ってないので未だに知名度はいまひとつですが。
📜 ドラッカーは“経営学者”ではなかった? 実は本人は「経営学者」と呼ばれることを好まず、「社会生態学者」と名乗っていました。彼の関心は企業の利益ではなく、組織が社会にどう貢献するかという“人間と社会の関係性”にありました。マネジメントは単なる技術ではなく、人間の幸福を追求する手段だと考えていたのです。
🖼️ 日本美術コレクターとしての顔 ドラッカーは日本の古美術に深い愛情を持ち、室町時代の水墨画や南画を中心に約200点もの作品を収集しました。円高の時代ですよ。浮世絵には興味を示さず、むしろ“渋好み”の禅画に惹かれていたのがユニークです。彼のコレクションは現在、千葉のミュージアムに寄託されています
●プロの選ぶ銘柄10選
ドラッカー入門 著者上田惇生 解説