「一隅を照らす」とは、自分の持ち場で誠実に仕事へ打ち込むこと――。 比叡山の山田惠諦座主の言葉には、日々の労働に込める情熱と使命感が溢れている。
伝教大師・最澄の教えによれば、どんな人でも12年同じ仕事に本気で向き合えば、真似できない技能を身につけることができるという。これが比叡山に学び舎を築くきっかけになった。
そして、その学びの根幹には「道心」があるとされる。「一隅を照らす」人は、決して派手ではないが、社会を支える重要な存在。言葉と行動を両立できる人物こそ“国の宝”であり、そうした人々は称賛されるべきだと説かれる。
面白いエピソードとして、最澄は唐から帰国した際に茶の種を持ち帰り、日本における茶文化の発祥の一部を担ったとも言われています。また、彼が刻んだ薬師如来像を安置した「不滅の法灯」は、1200年以上経った今も延暦寺で灯されています。
さらに、彼は「一隅を照らす」という言葉を残し、自分の役割を最大限果たすことの重要性を説きました。この教えは現代の生き方にも通じていますね。
一方で、職業の上下や種類に価値差はなく、誰もがそれぞれの場所で天職に励むことが人間としての本分。上司でも部下でも、親でも子でも、その場を明るく照らす役割を果たせば、それは尊い仕事といえる。
🌱 忘己利他の精神:利他こそが真の仕事人
「忘己利他」とは、自己の利を忘れ、他人のために尽くす心。 それを持って仕事に打ち込むことで、周囲に感動や信頼を与える。言葉にしなくても、行動が人の心に届けば、自然と人はその姿に付いていくもの。まさに「人の心に灯をともす」ような存在となる。
🧶 平櫛田中の名言から学ぶ:仕事は生涯現役の証
彫刻家・平櫛田中の「70、80は花盛り」というユーモラスな言葉には、年齢に関係なく“やるべきことを今やる”という覚悟が込められている。仕事は、ただ稼ぐためのものではなく、命を使う営みであるという考え方。
男性にとって仕事とは“産み出す行為”であり、女性の出産と同じく、後世に何かを残す手段だという。形ある成果だけでなく、働き方や姿勢こそが次世代への贈り物になる。
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最近、とある町工場の技術者が、自身のノウハウを後輩に惜しみなく伝えている様子を見た。無口ながら、手の動き一つひとつに魂が宿っている。そうした職人が「一隅を照らす」人であり、派手な功績よりも周囲に希望を与える灯となっていた。
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ところで「手仕事」といえば、最近日本の伝統刺繍“加賀繍”に夢中になっている若者が増えているらしい。スマホ時代に逆行するようでいて、没入できる感覚がメンタルケアにも効果的なのだとか。繊細な針運びが、無心になれるひとときを与えてくれるそう。
🌟 締めの語り:あなた自身が光になる時
一隅を照らすことは、社会を変える革命ではないかもしれない。 でも、一人の生き方が、誰かの心に灯りをともす。
そんな人生が、一番“宝”なのではないか――。
今日の仕事が、誰かの未来の背中を押す力になりますように。
🧘♂️ 最澄と空海、実は“絶交”していた⁉
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天台宗の開祖・最澄は、真言宗の空海に弟子入りして密教を学んだことがあります。
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しかし、最澄が空海に「もっと深い密教を教えてほしい」と頼んだところ、空海は「最低3年は修行が必要」と返答。
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最澄はその条件を受け入れられず、弟子を空海に預けるも、後に弟子が空海の元から戻らず、最澄は激怒して絶交したという説があります
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