夜勤を終えてT氏を車に乗せて帰る道中の話題はもっぱら「明晰夢」だった。
ご存知の方もいるだろうが、知らない人のために以下のサイトを紹介しておく。
http://明晰夢.com/
「明晰夢」とは、簡単に言えば「夢の中で『目覚めている状態』を獲得すること」だ。
この明晰夢の状態になると夢の世界を自由にコントロール出来るらしい。つまり何でもかんでも思いのままということだ。
「明晰夢」は俗に「金縛り」と呼ばれる現象と、睡眠中の脳の状態から考える上では密接な関係にあるらしい。どちらも半覚醒というのか、脳は起きているが身体は眠った状態なのだ。T氏は職場での仮眠中でも頻繁に金縛りに遭うようで、そこで味わう不思議な感覚から明晰夢への興味を深めていった。本を買ったり、明晰夢を見やすくなる音源をDLして聴きながら寝たりしている。一方、金縛り経験が皆無である俺は明晰夢へ至るのは容易ではないだろうと思った。
キッスの40周年公演を見た帰り道、電車内で双子兄と「最近、興味を覚えたこと」を語り合う中で俺は「明晰夢」について話した。双子兄は「腸内細菌」について語った。NHKの番組で特集をしていたらしく実に面白かったようだ。
その後、一緒に飯を食ってから家まで車で送り、自分の家へと戻った。
眠かったのですぐに眠ってしまった。
そして夢を見た。
どういう場面から始まったのかは覚えていない。とにかく、俺は夢の中で明晰夢のことを思い出していた。そして今、自分が居る夢の世界を明晰夢へと転換すべく、夢の中で「リアリティチェック」を行ってみた。
「リアリティチェック」に関しての詳細はサイトで確認してもらいたい。端折って言えば「夢の中で『今、自分がいるのは夢の世界なのだ』と自覚する方法」のことだ。
俺はパチンと指を鳴らしてみた。音が鳴ったか鳴らないかは定かではないが、にわかに夢の中の自分がリアリティを獲得しているような気分になった。目覚めている時と同じような知覚を感じたわけではない。そんな気分になっただけだ。
ちょうど横断歩道を歩いていたので、信号で停車している車を念力でひっくり返してみようとした。明晰夢の中では何でも思い通りになるはずだから。
「うぉぉぉおおおおおおおおお!!!」
一昔前のレガシーに似た車に手の平を向けて念力を込める。
すると、風に翻る落ち葉みたいに、ゆっくりと車は持ち上がり、やがて裏返しになった。
「すげえじゃん!?」
信号が変わり、隣のレーンを走る車が俺の前を素通りしようとする。
「お前だけ、通すわけにはいかぬ」
俺はその車の前に立ちはだかった。そして、バンパーの下を掴んで力を込めた。
「ぬぉぉぉおおおおおおおおお!!!」
少し重かったけれど、車を持ち上げることが出来た。
(本当に何でも出来るじゃん!?)
不思議な力を得て、夢の中の俺は興奮していた。
でも、そこまでだった。
正確にはその先に何が出来事があったのか、それとも普通の夢に戻ったのかすらも覚えていない。
とにかく目が覚めて、ぼんやりとした頭で、明晰夢らしき世界で車をひっくり返したことだけは記憶に留めておこうと考えていた。
さて、そもそも俺が見たのは明晰夢なのだろうか。
正直、夢の中でさほど強い現実感を覚えたわけでもないし、普段の夢と大きく異なる印象も残っていない。俺の見解ではおそらく「明晰夢にいる自分というシチュエーションの、ただの夢」を見たのに過ぎないのだと思う。
で、その夢の世界が面白かったかを問われれば、答えは「ノー」だ。覚えている内容だって車を二台、ひっくり返しただけである。ま、それは夢の内容如何なのだろうな。
職場のチームには明晰夢に興味を持つ者のが二人居る。
一人は子供の頃から何度も見ていて「明晰夢=普通の夢」とも思っていたらしい。ところが大人になるに従って滅多に見なくなったという。先日、久しぶりに見たので「女とヤった」のだそうだ。笑
どこの女と何をしたのか、詳しくは聞いていない。
もう一人はT氏で明晰夢を見るために怪しげな音源まで聴いているにも関わらず、なかなかその世界へはいけないらしい。
「ねぇ、明晰夢が見られたとして、何をしたいの?どこへ行きたいの?」
「そうね、自然だな。自然の中へ行きたい」
T氏が行きたいのは海なのか、山なのか、はたまた砂漠か南極か、それ以上は聞いていないが、自然ならば実際に行けるじゃないとも思う。
さて、双子兄がNHKで「腸内細菌」の番組を見て、その内容が実に興味深かったと話していた。要約すると、こういうことだ。
「人間の腸内には100億もの細菌が存在している。そして、その細菌の種類や分布は本当に人それぞれで、指紋のように異なるものらしい。で、どうやらそれらの腸内細菌が人間の精神や性格にまで影響を及ぼしているようだ」
極端な言い方をすれば「腸内細菌の種類が人格を決定している」と言うことだ。
例えば、自閉症児の腸内細菌は特有の傾向があることが研究で分かっているらしい。
無菌で生まれてくる人間が、成長の過程で様々な食べ物や外部接触により腸内細菌を増やしていくのだが、その細菌の種類や分布で人それぞれの性質が異なってくる。
つまり人の性質は腸内細菌によって後天的に決まる。
にわかには信じがたいが、実験で「勇敢なマウス」と「臆病なマウス」を高さのある台の上に乗せると勇敢な方はすぐに飛び降りるが、臆病な方はいつまでも台の上に残るらしい。そこで勇敢なマウスの腸内細菌を臆病な方へ、臆病なマウスの腸内細菌を勇敢なマウスへと注入すると逆転現象が起こるようなのだ。勇敢だったマウスが台上に留まり、飛び降りられなった臆病マウスが台からジャンプする。
細菌の種類、その作用に関して研究は続いているが、何しろ種類が多すぎて解明へ至る道のりは遠いようだ。
いずれにせよ、腸内環境を整えることは健康だけでなく精神にも作用すると考えるとにわかに重要なことに思えてくるのだった。
その話を聞いて以降、俺は頻繁に「腸に良い」とされるヨーグルトを食べるように心がけている。とりあえず試してみる。で、何かしらの効果が現れれば面白い。
で、今のところ、何も変化は見られないけれど。
明晰夢を見るための努力はしていない。
怖い夢などほとんど見ないが、悪夢でなければ別に夢の世界で楽しい出来事を求めようとも思わなくなった。去年の今頃はエロい夢を見て興奮し、「淫夢を見るためのアプリ開発」などを考えていたくせにね。
ご存知の方もいるだろうが、知らない人のために以下のサイトを紹介しておく。
http://明晰夢.com/
「明晰夢」とは、簡単に言えば「夢の中で『目覚めている状態』を獲得すること」だ。
この明晰夢の状態になると夢の世界を自由にコントロール出来るらしい。つまり何でもかんでも思いのままということだ。
「明晰夢」は俗に「金縛り」と呼ばれる現象と、睡眠中の脳の状態から考える上では密接な関係にあるらしい。どちらも半覚醒というのか、脳は起きているが身体は眠った状態なのだ。T氏は職場での仮眠中でも頻繁に金縛りに遭うようで、そこで味わう不思議な感覚から明晰夢への興味を深めていった。本を買ったり、明晰夢を見やすくなる音源をDLして聴きながら寝たりしている。一方、金縛り経験が皆無である俺は明晰夢へ至るのは容易ではないだろうと思った。
キッスの40周年公演を見た帰り道、電車内で双子兄と「最近、興味を覚えたこと」を語り合う中で俺は「明晰夢」について話した。双子兄は「腸内細菌」について語った。NHKの番組で特集をしていたらしく実に面白かったようだ。
その後、一緒に飯を食ってから家まで車で送り、自分の家へと戻った。
眠かったのですぐに眠ってしまった。
そして夢を見た。
どういう場面から始まったのかは覚えていない。とにかく、俺は夢の中で明晰夢のことを思い出していた。そして今、自分が居る夢の世界を明晰夢へと転換すべく、夢の中で「リアリティチェック」を行ってみた。
「リアリティチェック」に関しての詳細はサイトで確認してもらいたい。端折って言えば「夢の中で『今、自分がいるのは夢の世界なのだ』と自覚する方法」のことだ。
俺はパチンと指を鳴らしてみた。音が鳴ったか鳴らないかは定かではないが、にわかに夢の中の自分がリアリティを獲得しているような気分になった。目覚めている時と同じような知覚を感じたわけではない。そんな気分になっただけだ。
ちょうど横断歩道を歩いていたので、信号で停車している車を念力でひっくり返してみようとした。明晰夢の中では何でも思い通りになるはずだから。
「うぉぉぉおおおおおおおおお!!!」
一昔前のレガシーに似た車に手の平を向けて念力を込める。
すると、風に翻る落ち葉みたいに、ゆっくりと車は持ち上がり、やがて裏返しになった。
「すげえじゃん!?」
信号が変わり、隣のレーンを走る車が俺の前を素通りしようとする。
「お前だけ、通すわけにはいかぬ」
俺はその車の前に立ちはだかった。そして、バンパーの下を掴んで力を込めた。
「ぬぉぉぉおおおおおおおおお!!!」
少し重かったけれど、車を持ち上げることが出来た。
(本当に何でも出来るじゃん!?)
不思議な力を得て、夢の中の俺は興奮していた。
でも、そこまでだった。
正確にはその先に何が出来事があったのか、それとも普通の夢に戻ったのかすらも覚えていない。
とにかく目が覚めて、ぼんやりとした頭で、明晰夢らしき世界で車をひっくり返したことだけは記憶に留めておこうと考えていた。
さて、そもそも俺が見たのは明晰夢なのだろうか。
正直、夢の中でさほど強い現実感を覚えたわけでもないし、普段の夢と大きく異なる印象も残っていない。俺の見解ではおそらく「明晰夢にいる自分というシチュエーションの、ただの夢」を見たのに過ぎないのだと思う。
で、その夢の世界が面白かったかを問われれば、答えは「ノー」だ。覚えている内容だって車を二台、ひっくり返しただけである。ま、それは夢の内容如何なのだろうな。
職場のチームには明晰夢に興味を持つ者のが二人居る。
一人は子供の頃から何度も見ていて「明晰夢=普通の夢」とも思っていたらしい。ところが大人になるに従って滅多に見なくなったという。先日、久しぶりに見たので「女とヤった」のだそうだ。笑
どこの女と何をしたのか、詳しくは聞いていない。
もう一人はT氏で明晰夢を見るために怪しげな音源まで聴いているにも関わらず、なかなかその世界へはいけないらしい。
「ねぇ、明晰夢が見られたとして、何をしたいの?どこへ行きたいの?」
「そうね、自然だな。自然の中へ行きたい」
T氏が行きたいのは海なのか、山なのか、はたまた砂漠か南極か、それ以上は聞いていないが、自然ならば実際に行けるじゃないとも思う。
さて、双子兄がNHKで「腸内細菌」の番組を見て、その内容が実に興味深かったと話していた。要約すると、こういうことだ。
「人間の腸内には100億もの細菌が存在している。そして、その細菌の種類や分布は本当に人それぞれで、指紋のように異なるものらしい。で、どうやらそれらの腸内細菌が人間の精神や性格にまで影響を及ぼしているようだ」
極端な言い方をすれば「腸内細菌の種類が人格を決定している」と言うことだ。
例えば、自閉症児の腸内細菌は特有の傾向があることが研究で分かっているらしい。
無菌で生まれてくる人間が、成長の過程で様々な食べ物や外部接触により腸内細菌を増やしていくのだが、その細菌の種類や分布で人それぞれの性質が異なってくる。
つまり人の性質は腸内細菌によって後天的に決まる。
にわかには信じがたいが、実験で「勇敢なマウス」と「臆病なマウス」を高さのある台の上に乗せると勇敢な方はすぐに飛び降りるが、臆病な方はいつまでも台の上に残るらしい。そこで勇敢なマウスの腸内細菌を臆病な方へ、臆病なマウスの腸内細菌を勇敢なマウスへと注入すると逆転現象が起こるようなのだ。勇敢だったマウスが台上に留まり、飛び降りられなった臆病マウスが台からジャンプする。
細菌の種類、その作用に関して研究は続いているが、何しろ種類が多すぎて解明へ至る道のりは遠いようだ。
いずれにせよ、腸内環境を整えることは健康だけでなく精神にも作用すると考えるとにわかに重要なことに思えてくるのだった。
その話を聞いて以降、俺は頻繁に「腸に良い」とされるヨーグルトを食べるように心がけている。とりあえず試してみる。で、何かしらの効果が現れれば面白い。
で、今のところ、何も変化は見られないけれど。
明晰夢を見るための努力はしていない。
怖い夢などほとんど見ないが、悪夢でなければ別に夢の世界で楽しい出来事を求めようとも思わなくなった。去年の今頃はエロい夢を見て興奮し、「淫夢を見るためのアプリ開発」などを考えていたくせにね。